WAVY’Sの2人が指南! “今”ストリートで熱いメンズヘアって?
「一周廻ってオシャレっしょ」みたいな、頑張ってなさがポイント—中川優也さん
もともと僕自身が決め過ぎているヘアスタイルがあまり好きではないのもあって、僕のお客さまは「こだわっていないけれど、小綺麗な感じに」という人が多いです。
でも大抵の場合その裏に「頑張っている感が見えるのは恥ずかしい」という気持ちがあって、実は“感覚的なこだわり”を強く持っている人が多い。自分の感覚に合わない髪型になるくらいなら、安いカット料金のところでどうでもいい髪型になるほうがまだいい、みたいなところがあるんですよね。
スケートボードをする人たちのファッションがまったく構っていないように見えて、実はサイジングや着こなしにめちゃくちゃ気を遣っている、みたいなことともつながっているように感じています。
ヘアスタイルではこの「頑張ってなさ」と「こだわり」のバランス感覚を、お客さまと共有することが重要になってきます。僕の場合はヘアスタイルのディテールはすごく詰めてつくるし、洋服のサイジングや着こなしとヘアとのバランスにもこだわってスタイル提案をしています。でも最終的な仕上げは、お客さま本人がやったようなラフな感じに。最後は頑張ってない感じに仕上げるのをポイントとしています。
ちょうどいいバランスはどこかと聞かれると、そのお客さまと僕の間だけの、言葉では言い表せない感覚としか言えません。きてほしい層のメンズ客にきてもらうには、自分なりの感覚をまず持つこと。そうしたら同じ感覚を共有できるお客さまが、集まってきてくれるのかなと思います。
ストリート系のお客さまには、価値観を共有できる美容師が求められている—馬場一馬さん
メンズのストリートファッションは、ライフスタイルありきの部分が強いジャンルです。お客さまの好むファッションやカルチャーのバックグラウンドを知らないと、ヘアスタイルもいい落としどころを見つけにくい。それがストリート系のお客さまの難しさでもあり、面白さでもあると思います。
お客さまもそれがわかっているから、ヘアスタイル以上にその美容師が持つ空気感や、美容師がどこのシーンにいる人かを見ているのを感じます。中川のところにスケートボードをする人たちや、ストリートシーンで生きる人たちが集まっているのがその表れ。価値観を共有できることが、美容師を選ぶ重要なファクターになっているのです。
感度の高いメンズ客にきてほしいなら、まずは自分自身がきてほしいジャンルに対して感度高くあること。それに尽きると思います。
- プロフィール
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WAVY‘S
代表/馬場一馬(ばばかずま)
1983年生まれ。ハリウッドビューティー専門学校卒業。都内1店舗を経て、2016年、東京・原宿に『WAVY‘S』をオープン。現在、女性スタッフも増え、サロンのお客さま男女比率は5:5。
- プロフィール
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WAVY’S
スタイリスト/中川優也(なかがわゆうや)
1990年生まれ。日本美容専門学校卒業。都内有名店をスタイリストデビュー直前で退社し、1年間のフリーランス生活を経て、『WAVY’S』に入社。メンズ客をターゲットにしたブランディングを行い、現在男性客は9割近く。スケートボードをこよなく愛し、最近は映像制作も手がけはじめている。
(取材・文/福田真木子 人物写真/河合信幸 ヘアスタイル写真/WAVY’S)
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