焦るな。20代は無我夢中でいい。 50代からが本当のスタートだ。 PEEK-A-BOO代表の川島文夫スペシャルインタビュー
いい美容師かどうかはお客さまが決める
―ピーク・ア・ブーの場合は、何年くらいでデビューするのですか?
早い子で3年くらいじゃないですか。でも、それはある程度ベーシックを習得した状態。お客様に入って、そこから3年はかかります。大体ね、ハタチやそこらでお客さんをやっている人は、友達かカットモデルしかやっていないんだから、それをスタイリストとは呼びません。
美容師って、ヘアスタイルを通じて人を勇気づけたり、夢を与える仕事じゃないですか。やればやるほど、お客さんも増えるし、幅広い要望に応えられるようになる。そもそも、いい美容師かどうかは自分で決めるものじゃない。お客さまが決めることなんです。
―そのために努力が欠かせないと。
たくさん練習しないと上手くならないですよ。一流になろうと思ったら、一流の努力が必要。極めて、こだわって、綺麗をつくる。ここはブレちゃいけない。そのためにお客さまは遠くから来てくださるわけですから。
―ピーク・ア・ブーに30年戦士の方も多いのは、一流の努力を継続しているからなのですね。
技術に関してはそういうこと。でもウチの場合はそれだけじゃないんです。『Band of Brothers』っていうドラマを知っていますか?戦争のなか苦悩に耐えながら、信頼する仲間たちと戦っていくっていう。ピーク・ア・ブーも同じなんです。1年や2年じゃ仲間とは言えないですよ。10年、20年やってこそ本当の意味での仲間になる。
それと、全部オープンにすることも大事ですね。たとえば、売上はいくらとか、経費がいくらとか。そうすれば、報酬に納得できるじゃないですか。
若いうちは自分の年齢と同じだけ給料があればいいかもしれない。20歳は20万円、30歳は30万円という具合に。でもね、ピーク・ア・ブーの場合は、35歳になったら年齢の倍。週休2日で80万円とか100万円とか取ってくれないと、40代が見えてこないじゃないですか。みんな未来が見えるからここにいるんですよ。50歳過ぎて100万とれなかったらこんなところにいる必要ないよ。60歳になったら5倍だよ。
―それを川島さんが背中で見せているっていうことですよね?
いや、僕は意外と給料安いんですけど(笑)。自転車しか乗っていませんしね。一応、僕は代表だから会社に還元しないといけないでしょ。
―しかも毎日サロンに立ち続けている。
僕が一番忙しいんですよ。今日も明日も予約でパンパン。午前中までに大体10人、午後からあと10人。仕事をしないとカラダが疲れるの。
―1日20人もしたら普通クタクタにならないですか?
午前中に10人やって、エンジンの回転がよくなって、カラダのキレが増すという感じですね。僕の仕事は新しいデザインをつくったり、お客さまをハッピーにすること。お客さまに喜んでもらって、なんぼの世界ですから。
―でもさすがに新規はとらないですよね?
新規も取りますよ。さすがに今日の今日は無理ですけど、来週の土曜日の10時半に空いていたらどうぞっていう感じで。「This door is always open」ですから。で、僕が空いてないときは、仲間に回してあげる。もちろん、お客さまのご意向を聞いたうえでですけどね。
―川島さんのお客さまを任されたほうは緊張しますよね?
だから上手くなるんですよ。いいレストランに行くと、緊張するじゃないですか。このお皿どこのものかなとか、いくらかかるのかなとか。それがあるから美味しいんですよ。