Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×アートディレクター 大島慶一郎 (後編)広告の目的は外さない…でもちょっとズレるからおもしろくなる
「好きなもの?うーん、エロかなぁ。エロいってのはおもしろい」(大島)
内田:アートディレクターを長年やってきて、「やっぱり俺はこれが好きだな」と感じるものありますか。
大島:うーん、エロかなぁ。エロいっていうのはおもしろくもあるし、色もピンクとか出てくるじゃないですか。
内田:ピンク好きなんですか。
大島:好きなんですよ。ちょっと際どい感じというか、好きですね。
内田:性的な感じのディレクションをしているイメージがあんまりないですよ。エロってちょっと俗的なものじゃないですか。静と動でいうと、動なのかな。
大島:動いているものの一瞬を切り抜くとか、そういう方向性なのかもしれないですね。
内田:じゃあ、モデルさんを動かしたりして。
大島:動かしますね。その場で見ないとわからないので。
内田:僕はもうね、モデルさんに「動かないで」って言っちゃうタイプなんです。「この角度でこの表情をしてくれ」って。
大島:僕は偶然の産物も狙いたいので、動かしてみたいんですよね。
内田:僕も美容師を20年間やって、ある程度着地できるフレームワークはもうできているわけですよ。その中で着地すれば平均点は取れるし、自分印も出せるけど、ドキドキしないみたいな瞬間ってありますか。
大島:そうだなぁ。現場で「これこれこれ!」っていうものが出てくる瞬間はほしいかなぁ。
内田:アートディレクターっていつもその駆け引きなんですもんね。
大島:ある程度狙いは定まっているけれど、余白を残してやったほうが楽しいですね。
「大島さん!今度僕をブッキングしてください!」(内田)
内田:俺は美容師じゃなかったらアートディレクターやりたいです。
大島:ディレクションをするっていう意味では、すでに同業のような気もしますけれどね。
内田:ヘアの領域ではそうかもしれない。だから現場とか見にいきたいですもん。僕をブッキングしてください。
大島:ぜひご一緒したいですね。
内田:ありがとうございます! ちょっと質問を変えて、大島さんの仕事のこだわりみたいなところを聞きたいんですけど、仕事には納期があるじゃないですか。そのギリギリまで粘るタイプですか。
大島:僕は本当にギリギリまでやるタイプですね。
内田:美容師はどちらかというと時間をかけるのはダメだっていう感じなんですよ。カットが速いってことは組み立てができているということ。その組み立てを展開図って言うんですけど。頭の中で展開図が出来上がっていれば、その通りに切るだけなので時間がかからない。「上手い人は速い」って言うのは美容師の共通項なんです。
大島:僕の場合はすんなりできちゃうと自分を疑うんですよ。色々と試してやっぱりこっちだったか、みたいな。検証する時間があるんですよね。なんかね、生き物みたいなところがあって、ちょっと文字を入れるとまた違う見え方になったりして。ある程度は決まっているんですけれど、迷ってしまうことがあって。
>「悩む時間を乗り越えないと、納得できるものが出てこない」(大島)