Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×アートディレクター 大島慶一郎 (前編) 自己表現するのが照れ臭いので、作家ではなくアートディレクターを選んだ
渋谷のヘアサロン「LECO」の代表、内田聡一郎さんは音声メディアVoicy(ボイシー)で「soucutsの美容師ラジオ」という番組を運営しています。今回のゲストはアートディレクターの大島慶一郎さん。LUMINEやヒカリエ等商業施設のビジュアルディレクション、『Amazon Fashion Week TOKYO』、ミュージシャンのアルバムジャケットやMVなどに携わっています。広告業界で一目置かれるアートディレクターと内田さんの異業種対談を前編・後編に分けてお届けします。今回は前編です。
「内田さんのカットが速すぎてこれまでじっくり話ができなかった」(大島)
内田:今回はアートディレクターの大島慶一さんを迎えての異業種対談となります。まず僕らの関係なんですけど…
大島:僕が髪を切りに内田さんのところにいったのが最初ですね。
内田:もう4、5年経ちますよね。職場が近かったから来てくれたんですよね。
大島:ですね。ウチのアシスタントに「原宿エリアでいいサロンない?」と聞いて紹介されたのが内田さんのサロンだったんです。いつもお仕事している邦生(Hair & Headpiece artist光崎邦生さん)くんと内田さんが対談している記事なんかも見て、じゃあ行ってみようかなと。最初に切りに行くときは恐る恐るでしたけど(笑)。
内田:僕が覚えている限り、最初はアートディレクターをやっていることをあんまり表に出さなかったですよね。それから数カ月に1回ペースで来ていただいて今に至ると。仕事の話はそんなに深いことまで話していなくて「最近どうですか」くらいで、こうやって改めて仕事論を話したことはなかったですよね。
大島:世間話ですよね。でもカットが早くて的確なのでじっくり話す前に終わってしまうという。
内田:そうですよね。僕は大島さんのホームページとかInstagramなどを見てどんな仕事をしているのかなんとなく知っているんですが、あらためてアートディレクターってどんな仕事なんですか。
大島:どんな仕事なんですかねぇ…(笑)。多分、同じアートディレクターでもみんなそれぞれ違う感覚で仕事を捉えていると思うんですよ。自分的にはいろんな素材を用意して、料理に例えると「今日は中華かな」とか、テーマにあう適材適所の自分を出して、何かをつくるという感覚に近いのかなぁと。
だから、イラストがあるんだったらイラストメインに寄ったり、写真がメインだったら頭を切り替えて写真でつくるとか。グラフィックならグラフィックメインで考えるとか。自分は結構飽き性なので、いろんな自分で仕事できるのが楽しいと思っています。
「アートディレクターは野球でいうと監督ですか?」(内田)
内田:アートディレクションって現場で手を動かす仕事じゃないですよね。カメラはカメラマン、ヘアはヘアメイク、衣装はファッションスタイリストがやるから。野球でいうと監督というポジションってことですか。
大島:そうですね。自分の場合は監督でもあるし、プレイヤーでもあるかな。
内田:その中でもイラストに強い人、グラフィックに強い人などがいると。
大島:DJみたいな感覚に近い時もあるかもです。セレクトするっていうところでは。DJの人も自分では楽器弾いていないですよね。ミックスの仕方がうまいとか、センスは似ているのかなと。
内田:最初に言っていた料理人に近いのかな。創作料理人みたいな。
大島:食材を選んで料理するのも似ているかもしれないですね。その中に本当に和食専門の職人気質の人がいたり、ファミリーレストランみたいに幅広くて回転が早い人もいるし。
>「真っ直ぐな仕事よりも、ちょっと斜めな感じが多いかな」(大島)