LECO代表 内田聡一郎×かつお食堂 かつおちゃん(前編) かつお愛が溢れすぎてOLから鰹節の産地を回遊する「鰹節伝道師」へ
「鰹節を削っているとき『あーこの子苦しんじゃったな』とわかる」(かつお)
内田:鰹節ってつくる人によって味が違うの?
かつお:違います。
鰹節と一言で言っても、パックになる運命とか、姿形が見える運命とか。その運命により、そもそもの原料の鰹が異なったり作る工程も変わります。だから、作る人によっても違うし、作る人が同じでも鰹によって異なります! 鮮度はもちろんですが、その鰹がそんな場所で育ちどんなものを食べてきて、どんな釣られ方をしたのか、どんな気持ちで、苦しんでなくなったか…などによっても異なります。
内田:え、そうなの!
かつお:はい、本当に繊細ですね。鰹が異なると半年以上時間をかけて丁寧に作られる鰹節でも素材の個性は残ります。
内田:いやいや待って、刺身だったらそれもわかるけれど、鰹節ってさ、原型がないじゃん。
かつお:節を削っている時、身が焼けた部分が白くなっていたり、そこは粉になりやすいです。鰹節を削ってるとき「あー、この子苦しんじゃったな」とかわかりますもん。
内田:それ、普通の人じゃ絶対にわからないよね。師匠とかかつおちゃんの領域にいって、初めてわかることだね。すごいな…。話を戻すと、かつおに目覚めて産地を巡っていたんだよね。「かつおで生きていく」って心に決めた瞬間はいつなの。
かつお:鰹節道師になるって言っても、親からしたらせっかく大学まで行かせたのに就職せずにプラプラしているように見えるわけです。「あいつは旅ばっかりして何してるんだ」と。毎日のように父と喧嘩して、あるとき「お前、座れ」と言われて正座して。
内田:説教が始まったんだ。
かつお:そう。「お前、なんなんだよ」と。
内田:かつおじゃねえよと。
かつお:そのときに「その話をしようと思っていたんですが、派遣の仕事をやめます」と伝えて。「かつおでどうやって食っていくの?」と父に言われて「いや、決まっていないです。それでも鰹節を伝えていきたいと思っているからやめさせてください」と。そうしたら、父も私が言うことを聞かないことをわかっているから、「じゃあやってみろ。その代わり、自分で決めたんだからとことんやれよ」って言ってくれたんです。で、やっぱり働かなきゃと思ったんですが、「鰹節屋さんで働くのが、一番筋が通っているよな」と。
内田:そりゃそうだよね。
かつお:それで日本橋の大きな問屋さんでアルバイトしながらお金をためて旅をしていたんです。
内田:なるほどねぇ。美容師の場合はさ、なんかキラキラしてるとか、表面的なところだけを見て入ってきたのはいいけれど、理想と違って楽しくなくなっちゃうパターンが結構あるんだけど、かつおちゃんは鰹節の問屋さんで働いて、それに似たことはなかった?
かつお:ありましたよ。私は鰹節がめちゃくちゃ好きで愛情溢れているけれど、みんなが同じテンションじゃないわけで。好きかどうか別にして仕事としてやっている人もいるから、なんか私のほうがちょっと変みたいな。
内田:「なんでこいつこんなに鰹節好きなんだよ」みたいな感じか。みんながみんな好きを仕事にしているわけじゃないもんね。
かつお:そう。でも旅をすることでその辺のバランスは取れていたのかなって思います。
>「悩むこともあるけど、自分の愛する鰹節を伝えていこうと思いました」(かつお)