LECO代表 内田聡一郎×Hair & Headpiece artist 光崎邦生(後編) 今、君たちが憧れている世界は、君たちが輝く未来にはもう存在しない ーVoicyスペシャル対談 ー
渋谷のヘアサロン「LECO」の代表、内田総一郎さんは音声メディアVoicy(ボイシー)で「soucutsの美容師ラジオ」という番組を運営しています。今回のゲストはリスナーからの熱い要望に応え、Hair & Headpiece artistとして異彩を放つ光崎邦生さん。ロンドンやニューヨークを拠点に活動していたこともある破天荒な人物です。まだ何者でもなかった時代から交流があったという二人の熱い対談を前編・後編に分けてお届けします。今回は後編です。
「僕は人よりもめちゃくちゃ手を動かすようにしている」(光崎)
内田:邦生くんの作品はいつ見ても最高にドキドキする。アーティストにつけるヘッドピースとか一体どんな発想でつくってるんだろうって思うんだけど、どこから降りてくるの?
光崎:僕は人よりもめちゃくちゃ手を動かすようにしていて。それこそ美容室みたいに鏡がある空間だったら、鏡を見ながらつくる。視線の先はモデルさん。触りながらバランスを探る。
内田:じゃあ、同じものはつくれない?
光崎:つくれない。
内田:本当にオートクチュールなんだ。
光崎:家でマネキンを何時間触っていても、結局当日のモデルさんの顔やスタイリングの服などによってバランスが変わってくる。360度、どこから見られてもいいように意識しているから、めちゃくちゃ手を動かす。ヘアスタイリストって横顔が1番の見せどころだと思ってて。正面より髪の面積が広くてボリュームもあるし。最近、guidopalau(ヘアスタイリスト )のInstagramを見ていても、写真が全部横向きなんだよね。
内田:俺も見ているけど、確かにそうだわ。
光崎:だから、横に鏡があるスタジオでは鏡をめちゃくちゃ見るし、鏡を横に置けるときは置いてる。ファッションの撮影の場合はどこを撮られるかわからないし、後で言い訳できないから。
内田:美容師のシューティングはこっちがイニシアティブを握って、撮りたい角度を伝えられるけれど、ヘアメイクの場合はフォトグラファーが握ってるもんね。「え、そっちを撮るの?」みたいなことが絶対あるじゃん。
光崎:あるね。
内田:だからどこで切り取ってもいいようにつくらなきゃいけないってことだよね。
光崎:自分はこの角度がいいと思っていても、別角度から撮られることがありすぎて、もうそのことに対して何にも思わない。でも、自分がベストだなと思う角度はある。例えば、斜め45度がいいとか。何も言わなくてもそれを汲み取ってもらえたときはうれしいね。
内田:撮ってほしい角度は伝えないの?
光崎:「こっちもいいよ」みたいな伝え方をすることもあるけど、最初からお願いすることはないかな。
内田:それが現場で強くなっていく方法なんだろうね。
>「俺はよく「モデルを殺しているよね」って言われる」(内田)