Voicyスペシャル対談 LECO代表 内田聡一郎×フォトグラファー 松山優介 (後編) 美容師を諦めたから、美容師に支持されるフォトグラファーになれた

「美容室でバイトしていなかったら今の松山優介はいないってことか」(内田)

 

 

松山:行動力だけはあるんです。美容室をスパッと辞めてスタジオに入りました。1年くらいしたころ先生が「お前の人物の写真は面白い。だけど名古屋だと全部の写真を取らなきゃいけない。食事もそうだし、保育園、幼稚園、結婚式。多分お前はなんでも撮るのは向いていないから、東京に行って得意な撮影をしたほうがいい」って言ってくれたんです。僕は何も恐れを知らなかったから、「じゃあ東京に行きます」って上京してきちゃったんですよ。

 

内田:じゃあ、最初の美容室のオーナーさんと、撮影にきていたカメラマンさんとの出会いがなかったらどうなっていたかわからなかったってことか。今の松山優介はなかったかもしれない。

 

松山:そうです。何の技術もないやつを美容室が雇ってくれていなかったらどうなっていたかわかんないですよね。

 

内田:すごい、感謝っすね。オーナーさんもカメラマンさんも、松山さんがこんな立ち位置になるなんて思っていなかったでしょ。

 

松山:びっくりされましたね。でも「よかったなぁ!」って一緒に喜んでくれて。

 

内田:上京してからはどんな感じだったの。

 

松山:恐れを知らない僕はですね、まず金がいるということで、とある大きなスタジオに作品を持ち込んだんですよ。そうしたら採用してくれて。グイグイいく気持ちがありましたからね。Doubleの山下さんの撮影のときもそういう気持ちが大事だと思っていたので。よくわからないけれど、とにかくやっちまえっていう。

 

「テレビで映画を流して好きなシーンをカメラで撮っていました」(松山)

 

 

内田:それで松山さんは誰にも指示されずに、自分の好きなもので評価されたと。技術やセンスは独学で磨いていたんですか。

 

松山:そうです。とりあえずいっぱい撮りました。最初はフィルムだったんですけど、一日1本36枚は撮ると決めて実践していました。

 

内田:すごいね、それ。

 

松山:上京してからアシスタント時代、約4年間は毎日ですね。ギャラリーを借りて個人的に写真展をやったりもしていました。モデルさんを撮りたかったんですけど、個人で用意するのは大変じゃないですか。お金もかかるし。

 

あるとき映画見ててカッコいいなって思ったシーンを撮ったんです。現像してみたら「カッコいいなこれ」って思えて。だから、テレビで自分の好きな映画を流して、好きなシーンを写真で撮っていました。印象的な映像って一瞬じゃないですか。これって被写体も同じなんですよね。瞬間を撮るわけなので。

 

内田:瞬間を切り取る練習なんだ。

 

松山:ポージングもそうだし、一瞬を撮るっていうことに関して練習になるんですよ。これはみんな絶対にやったほうがいいと思う。

 

 

内田:素晴らしいね。若手の美容師でも、なんかやりたいけど時間がない、お金がない、コネがないって、この3点で言い訳する子がいるわけですよ。松山さんはお金もないし、モデルさんもいないし、「今日ぐらいいっか!」ってならなかったんですか。

 

松山:僕は写真に飛びついたスタートが遅かったですからね。普通だったらもうアシスタントが終わっている子もいますから、時間がなかったんです。少しでも早く稼ぎたかったから、工夫は惜しまなかったですね。写真学校に行っていなかったから、そこを埋めるために真面目に考えていました。

 

内田:時間とかお金とかじゃなくて、なんでもチャンスにできるぞっていう精神を感じるね。

 

松山:何かの理由があってできないこともあるかもしれないけど、僕はそんな状況下でもできることが何かあると思うんですよね。絶対に。言い訳するのもよくないと思うな。

 

>「でもさ、頑張れない人もいるわけじゃない。どう背中を押す?」(内田)

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