内田聡一郎のsoucutsラジオ vol.8 好きなことを仕事にして稼ごう時代のジレンマ
東京渋谷の美容室LECOのオーナー、内田聡一郎さんが若手美容師や美容学校生に向けて発信するsoucutsラジオ。サロンワーク、クリエティブ、経営、教育、ファッション、DJとマルチに活躍し、さまざまなことに出会ってきた内田さんだからこそのリアルでハッとさせられるトークが展開されています。若手美容師、美容学生をはじめ、ベテランスタイリストやオーナーなど、どのフェーズの人にも、きっと「気づき」があるコンテンツです。第7回のテーマは「好きなことを仕事にして稼ごう時代のジレンマ」。好きなことで稼げるようになりたい美容師さん必読です。
『28歳からのリアル(マネー編)人生会議』を部屋から発掘
今日のテーマを「好きなことを仕事にして稼ごう時代のジレンマ」にしたきっかけは書棚の整理でした。昔買った本がたくさん出てきて、その中の一冊に『28歳からのリアル(マネー編)人生会議』がありました。懐かしいと思って、ペラペラめくって読み返したんですよ。僕が28歳くらいのときに買った本で、お金の稼ぎ方とか、資産形成についてとか書いてある。当時の僕にビシビシ伝わってくる内容でした。文章もエッジが効いてて「今、あなたが100万円稼げたらどう思いますか。稼げないと思ってますよね。でも意外と簡単なんですよ」みたいに書いてある。
その当時の僕はまだ全然100万円なんてもらえる状況ではなかったので「無理だろう」と思っていました。振り返ると、28歳くらいのときって一番お金にシビアな時期ですよね。結婚したらお金が必要だなとか、将来のことを考えて貯金したいなと思ってたりとか。いろんな意味でお金に対するリテラシーの問題がリアルになる時期だと思います。
美容師は好きなことをしながら稼げているのか問題
美容師さんにもいろいろいるから一概には言えないけど、スポ根で育ってきてお金のことは考えてこなかった人も少なくないよね。今はそういう人は少ないのかもしれないけど。でもまあ、僕の場合は28歳のときに貯金なんてほとんどなかったです。稼いだお金を全部使っている感じだったので。
でね、その本をめくっていくと、好きなことを仕事にして稼いでいこうみたいなことが書いてある。僕ら美容師は、基本的に好きなことを仕事にしていると思うんですよね。ここからが今日の本題なんですが「美容師は好きなことしながら稼げているのか問題」があるわけですよ。
少し前までYouTubeは「好きなことで生きていく」みたいなプロモーションをしていました。年収が1000万円を超える人もいるだろうし、一攫千金を狙って会社員から転身して成功したシンデレラストーリーみたいなものもあった。じゃあ、好きなことを仕事にしている美容師の稼ぎはどうですか? となるわけですよ。好きな仕事だけど稼げないっていうのが美容師の問題だと思います。
やりたいけど稼げない仕事を、やりたいし稼げる仕事に変える
これは違う本で読んだ話なんだけど、仕事と報酬はマトリクス図で表す考え方があります。簡単にいうと①やりたいし稼げる仕事②やりたいけど稼げない仕事③やりたくないけど稼げる仕事④やりたくないし稼げない仕事の4つに分かれます。美容師に関していうと②にいる人が多いと思います。稼げないけどやりたいことではあるみたいな。じゃあ、やりたいことで稼ぐために美容師としてどうするかっていうのを戦略会議しなきゃいけないと思います。
どうやってやりたいことだけど稼げない仕事を、稼げる仕事にしていくか。まずはそのやりたいこと、好きなことを因数分解することが大事だと思います。自分の好きを分析、研究して、人に自慢できるレベルの得意に昇華させる。だから僕はオーナーとして、スタッフの好きを見つけて得意に昇華させることを考えています。そして、その得意なことが、世の中から求められる価値になれば、稼ぎにもつながる。要はその得意なことが武器になっていない場合は稼ぎにならないよねってこと。だからまずは自分の得意なことが、世の中にとって価値があるものなのか、客観的に見つめられるようにならないといけないよねって話。それが好きなことで稼ぐことにつながっていく。
好きを得意に変えられたから年収が倍増した
僕は28歳のリアルのマネー編を見たときから、自分の好きを得意に変えて価値を与えていくことを考えてきました。その結果、当時よりも僕は何倍もお金をもらうことができています。今はAIが発達してどんどん代わりに仕事をしてくれるようになっています。そうなると、やりたくない仕事は減っていく。そうなると、やりたいことで稼げる人と、やりたいことで稼げない人の二極化が進むんじゃないかなと。
じゃあ僕らは何を考えないといけないかというと、好きを見つけて、得意に昇華して、人が求める価値を生み出すこと。そのためにチャレンジしなきゃいけないし、僕も手本を見せられるようにしていかなくてはならない。と、こんな感じのことを、本棚の整理していて思いました。特に28歳前後の人はいろいろ考える部分もあると思うんですけど、まずは自分を客観視して、何が大事か考えてみてください。SOUCUTSでした。
- プロフィール
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LECO代表 内田聡一郎(うちだ そういちろう)
2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。
2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUをオープン。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。
2019年12月から若手美容師にエールを送るsoucutsラジオを始動。
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