内田聡一郎のsoucutsラジオ Vol.4 心が折れそうになった時の処方箋
東京渋谷の美容室LECOのオーナー、内田聡一郎さんが若手美容師や美容学校生に向けて発信するsoucutsラジオ。サロンワーク、クリエティブ、経営、教育、ファッション、DJとマルチに活躍し、さまざまなことに出会ってきた内田さんだからこそのリアルでハッとさせられるトークが展開されています。若手美容師、美容学生をはじめ、ベテランスタイリストやオーナーなど、どのフェーズの人にも、きっと「気づき」があるコンテンツです。第4回のテーマは「心が折れそうになった時の処方箋」。今や将来が不安という人も、「内田さんに心が折れそうなことなんてあるの?」という人も是非読んでみてください。
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今も心が折れることは腐るほどある
今日は「心が折れそうになった時の処方箋」というテーマでお話ししたいと思います。きっかけはドイツでバレエダンサーを目指して留学中の学生さんからいただいた相談DMです。「バレエダンサーを目指しているんですが将来が不安です。そんな時内田さんはどうしていますか」という内容でした。
今取り組んでいることや、置かれている状況に対して気持ちが折れそうになった時、僕はどうしてきたかという話なんですけれど。改めて振り返ってみると、僕にも将来が不安な時がありました。
本当に毎日、いろいろな葛藤と向き合っていましたね。同期と喧嘩したり、先輩に叱られたり、辞めたいなぁとか人生つまんないなぁとか思って過ごしていた時期も正直あります。というか、今現在もそういうことなんて腐るほどあるんですよ。オーナーになって日々葛藤の中で、それでも目標に向かって頑張ろうとやっているわけなんですけど。
「逃げる」という選択肢もアリだと思う
僕は高校卒業後、18歳から美容師をしていたんですが、22歳の時に美容師をやめているんですよ。神奈川県にあるサロンで、めちゃくちゃ人も優しいし、先輩もよくしてくれていたし、環境としてはよかったと思います。
けれど、誰かに対して疑心暗鬼になってしまったり、上手くいかないことを誰かのせいにしたり、サロンのルールのせいにしたりして、「自分のやりたいことと違う」と思って辞めてしまったんですよね。他人のせいにしたり、できない理由を探して正当化したりする癖があったんです。これって本当に若い時に誰もが経験することだから、特殊じゃないと思っています。みんなが通る道なんですよね。
それで僕は美容師を辞める決断をしたのですが、これも一つの手だと思っているんですよ。目の前の現実に前のめりになれない時は、一度ストップして、自分のあり方や人生を考えた上で、1回リセットしてみるのは全然いいことだと思う。僕の場合は美容師を辞めてから1年半くらいフリーターだったんだけど、結局「僕は美容師をやりたいんだ」と気づいて戻ったんですよね。
毎日の小さなルーティンを通じてブレない自分を作る
それともう一つ。他人ではなく、自分で決めたルール、自分が決めたレールに乗って頑張ることが大事だと思います。そのために気分に左右されない自分をつくるといいですね。
僕がやっているのは、小さいルーティンをつくってそれを積み重ねていくこと。僕はInstagramのストーリーで「#ナイスグルーヴ」というタグをつけて、毎日1曲紹介しています。正直、めんどくさいなぁ、ちょっとだるいなと思う時、気が滅入っている時もあるんですけど、#ナイスグルーヴを何年も続けてきました。
これがどういう効果があるかというと、毎日の行動パターンにしっかりと反映されて、気分に左右されにくくなってくるんです。大きな目標や、大きな言葉とかではなく、本当に小さいこと、簡単なことでもいいので、小さな達成感を積み重ねていくとブレない体質になります。一時的に気分が下がっていても、すぐに行動できるようになるはず。これは本当に効果があるので参考になれば、と思っています。
繰り返しになるけど、僕にも気が滅入ることってあるんですよね。その度に人の助けによって救われている部分もあります。それは本の中に出てくる言葉だったり、信頼している人に話を聞いてもらうことだったりするんですが、これも大事だなぁと思いますね。
本物の美容師になりたいんだろ?
で、今思い出したんですけれど、23歳の時にもう一度美容師に戻ろうと思ったのは、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』っていう本を読んだことがきっかけだったんですよね。羊飼いの少年が、自分の夢に向かって、自分を信じて成長していくっていう話なんですけれど。そういうスピリチュアル的な本を読みつつ、「夢を持って進むことが大事なんだな」と奮い立たされたわけです。
最近だと『グランメゾン東京』(TBS系)の影響も受けています。ミシュランの三つ星レストランを目指しているシェフたちの話なんですが、失敗続きで腐っちゃいそうになった時に「お前はどんな料理人になりたいんだ。本物の料理人になるんだろと」と鼓舞する場面があって、それを見た僕が「そうだよな」と奮い立たされたわけなんですけれど。最終的には、自分が弱った時は、夢や目標に向かって毎日をひたむきに頑張るしかないと思っています。
とにかく、自分で決めたルールに従い、毎日ひたむきに頑張るために、いろいろなことに触れていこうということですね。僕も毎日、悩んでいます。でも皆さんと同じように頑張っています。今日これを聴いた人の気持ちが少しでも晴れたら幸いです。また次回お会いしましょう。それでは。
- プロフィール
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LECO代表 内田聡一郎(うちだ そういちろう)
2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。
2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUをオープン。
代表として今後一層の活躍が期待されている。
著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。
また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。
2019年12月から若手美容師にエールを送るsoucutsラジオを始動。
【twitter 】@soucuts
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