【最終回】行くはずのなかったカナダで出会った美容師-旅人美容師、桑原淳の世界一周の旅コラムvol.18カナダ編-
約600万人が暮らすカナダ最大の都市トロント。
なんとその約半数が世界中からの移民で、90もの民族が暮らしているそうです。
もう日本では考えられないことですね。
別名「人種のモザイク」とも呼ばれていて、「リトルイタリー」「アラブ人街」「コリアンタウン」など世界各地からやってきた文化が地域ごとにでき上がっていて、トロントはまるで世界を縮小したような場所でした。
ちなみにジャパニーズタウンはありませんでした(笑)
「髪を切ってほしい」
アメリカにいた頃から現地在住日本人とカナダ人数人から連絡をもらっていて、その人たちと会っては髪を切り、会っては髪を切り…そんな日々を送っていたらあっという間に1週間がたってしまいました。
特に思い出に残るのがトロントのシンボルであるCNタワーでカットしたときのことです。
オンタリオ湖が一望できるハーバーフロントで 、少し肌寒い朝7時に韓国人の旅仲間と待ち合わせをしました。
実は、彼の髪は1年前にタイのバンコクで、その数ヶ月後にイタリアのコロッセオの前でカットしたので3回目になります!
縁って不思議なもんですね(笑)
「このシンボルの前で切ってほしい」との彼の要望により朝早くカットすることになったのですが、内心早起きが少しめんどくさいなーと思っていました。(笑)
でも、行ってみると空が澄んでいてとても綺麗な湖に感動…。
2人で温かいお茶をすすりながら、そしてこれまでの旅の思い出をお互い話しながら髪を切りました。
他によく行っていたのはダウンタウンに位置するライアーソン大学です。
看板を置くとたくさんの学生が集まってきて話しかけてきてくれます。
さすが移民の街トロントというだけあり、みんな違う国の血が流れているようでした。
出身もマレーシア、中国、アメリカ、アイルランド、日本とさまざま。
髪の色も肌の色も目の色も違う。
「この大学でカットしてれば世界中まわる必要などないのかもしれない」
そんなことをふと思いました。
ある日、“KING”と呼ばれるトロントで働く日本人美容師と一緒にライアーソン大学でカットすることになりました。
いつもは1人だけど、もう1人いるだけで雰囲気がガラッと変わり、とても楽しかったです。
このように世界各地で出会う日本人美容師からも多くのことを教えてもらえました。
今までいろんな街に行きましたが、トロントほど日本人が多く住む街も珍しいです。
滞在してみて特に感じたことは日本人美容師がすごく多いこと。
ワーキングホリデー制度がある英語圏、そして人気の街なので必然的に数が多くなるのはわかりますが、あまりに多くの美容師に会ったので驚きました。
美容師さんたちの多くはアジア系サロンで働いていました。
トロントには日系サロンもたくさんあり、お客さまで日本人の方もいるようなので英語が少し苦手な人でもやっていけそうです。
住んでも髪を切る場所、働く場所には困らなそうな環境でした。