人懐こいネパール人。震災前のネパールで見てきたもの-旅人美容師、桑原淳の世界一周の旅コラムvol.16ネパール編-
8月中旬マレーシアのクアラルンプールからネパールに向かいました。
3ヶ月を過ごした東南アジア最後の食事はカレー。
数時間のフライトで到着したカトマンズの空港は東京の主要駅より遥かに小さいものでした。
徒歩で空港敷地内から出ると、街へ向かうローカルバス乗り場があります。
バスを待っている間にお腹が空いたのでレストランに入るとカレーみたいなものしかありません。
「そうか、ここはインドの隣だった…」
これから毎日カレー生活が始まるにもかかわらず、僕は貴重な東南アジア最後のご飯をカレーにしてしまったのです。
後から気がついたのですがネパール料理はインド料理と中国料理が混ざっています。
例えば、モモと呼ばれるネパール風餃子はとても有名です。
蒸した餃子にカレーソースをつけて食べるモモは安くて庶民的。
日本で言う牛丼のような位置でしょうか。
バスに乗り込みタメル地区という旅人が多いエリアに向かいました。
人口3000万人もいないネパールの町並みはやっぱり少し貧しい感じがします。
ですが、景色、人々からエネルギーをヒシヒシと感じ、今まで長いこと滞在して慣れ親しんだ東南アジアとはまったく違う印象でした。
初日にわずか400円のホテルに泊まりダニに全身を噛まれ、逃げるように翌日別の宿に移動しました。
そこには数人の日本人が滞在していて、すぐに仲良くなれました。
インドビザ情報を聞き、早速翌日大使館に行ったところいともあっさりと申請が通りました。
ビザ発行までの1週間、なにをしよう? と考えてみたところやっぱりヘアカットしかすることがなかったので、場所を探しつつ、世界遺産のダルバール広場へ向かいました。
世界遺産のお寺のはずなのに、たくさんの地元の方々がそこに腰を下ろし暇を潰すように話し込んでいます。
直感的に「ここだ」と思いました。
近くの家でおばちゃんに椅子を貸してもらい、広場にいる警察に相談に行きました。
僕「このあたりで髪を切ってもいいですか?」
警察「真ん中のほうが人多いからあっちでやりな!」
僕「え、でも世界遺産なのに…」
警察「大丈夫大丈夫!!」
やっぱりそういうところは適当なようです。
いつものように看板をだし、椅子をおくとすぐに人が集まってきます。
東南アジアではなかった反応にビックリしつつもうれしくなりました。
ネパールでのカットの料金はとても安くて100円以下。
男性は短く刈り上げる人が多いのですが、女性はほとんど切りません。
そのため、カットしにきてくれた方はほぼ男性。
2人切り終わったところ先ほどの警察がやって来ました。
「人が集まりすぎだからやっぱりやめて」
見物していた子どもたちに連れられ、また少し離れた場所に向かいました。
その日からというもの、毎日のようにダルバール広場へ足を運びました。
そこを溜まり場にしている子どもたちとも毎日顔を合わせ、とても仲良くなれました。
たくさんのネパール人、観光客をカットする日々はとても楽しく思い出にすごく残っています。
警察ともいろんな話をし、気に入ってもらえました。
多いときは200人もの人々に見守られながらのヘアカットはまるでヘアショー。
世界39ヶ国を周っていろんなところで髪を切ってきましたが、このダルバール広場ほど人が集まった場所はありませんでした。
たくさんの友達ができ、そしてご飯もおいしく、綺麗だったネパール、カトマンズは僕の中では世界でベストスリーに入るお気にいりの場所です。