人懐こいネパール人。震災前のネパールで見てきたもの-旅人美容師、桑原淳の世界一周の旅コラムvol.16ネパール編-
「世界一周をしながら、1,000人カットする! 」
そんな夢を抱きながら旅する美容師、桑原淳(くわばらじゅん)さんの人気連載! 毎月ひとつの国を取り上げ、美容師目線で見たその国の文化や情勢、住む人の特徴や髪質、実際にカットしてみたエピソードなどを紹介します。
こんにちは。旅人美容師の桑原淳です。
僕は現在、 “さまざまな国を周って1,000人カットする”という夢を掲げ、世界を旅しています。この度、好きな美容師をしながら、「ハサミ」一本でいろんな人に出会い、経験をしたことを、僕なりの解釈で紹介させていただきます。
今回は大好きな国の1つネパールについて書いてこうと思います。
僕がネパールを訪れたのは大地震前の2014年8月のこと。
10日間、首都のカトマンズで過ごしました。
ところでネパールってどこにあるかご存知ですか?
世界地図で見るとインド洋の上の内陸部。
東、西、南の三方をインドに囲まれ、北にはチベットがあります。
そのため、多民族・多言語国家であり、民族とカーストが複雑に関係し合っています。
宗教もヒンドゥー教、仏教などが混在しています。
通貨はネパールルピー。レートは1円が1ルピー(2014年)でした。
主産業は農業ですが、世界最高地点エベレストを含むヒマラヤ山脈があり、登山の玄関口として観光業も盛んです。
ですが、僕は登山にまったく興味がありません。
ヒマラヤ登山など無理に決まってる…そう思っていたので、当初ネパールに行く予定はありませんでした。
そんな僕がネパールにやって来た目的はただ一つだけ。
“インドビザの申請”
インドには行きたいと思っていたのですが、インドは入国するためにビザを取得しなければならない国なのです。
暇な旅人の唯一の仕事とも言われるビザの手続き。
僕は「どっかの国ですればいいや!」なんて思ってずっと後回しにしていました。
日本でももちろんできるのですが、出国前に大使館に行くのがめんどくさくて、結局ビザなしで日本を出てきていたのです。
旅人の間では「インドビザはタイのバンコクで取るといい」とまことしやかに言われています。
でも、バンコクでも僕は行きませんでした。
めんどくさくて…(笑)
後回しにし続けて数ヶ月後、ついにインド行きを決め、タイで大使館に向かいました。
その結果…書類不足でビザは取れませんでした。
大使館のおばちゃん「インド入国、出国の航空券と、ホテルの予約、旅行の日程表がないから作ったらまた来て」
僕「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。いつ行くかわかんないんすよ。ネパール行ってからバスでインドに行くかもしれないんですよ」
おばちゃん「じゃ、あんたネパールでビザ取りなさいよ」
そんなつもりはなかったのに思わずネパールからバスで行くという適当な言葉を口にしてしまったため、インドビザのために本当にネパールに来ることになってしまったのです。