【独占インタビュー】「旅人美容師の1000人ヘアカット世界一周の旅」の舞台裏
カンボジアの孤児院での出会い、凶暴な野犬とのバトル…
-髪を切った人のなかで、印象的だった人を教えてください。
「カンボジアの孤児院で髪を切ったときのことが印象深いですね。そこには両親が貧しくて子供を育てられない家庭から来た子が集まっていました。そんななかに一人、流ちょうな英語を話す子がいたんです。
その子は地雷を踏んでしまって足を失っていました。そこで働いていたボランティアの人いわく、彼は普段から勉強家らしくて、英語だけではなくフランス語も話す秀才。髪を切っているとき、「将来の夢は医師になること」と目を輝かせて教えてくれました。
カンボジアは内戦時に知識階層が殺害された歴史があります。だから医師はこの国を救う存在。でも彼にはお金がないし、足も失ってしまっているし、医師を目指すにしても、いろんなハンデがある。それを受け入れ、前向きに乗り越えようとしている彼の姿を見て、僕も頑張ろうって思いましたね」
-感動した場所をあげるとしたら?
「ギリシャにある世界遺産メテオラですね。中国の水墨画に出てきそうな切り立った岩山のてっぺんに修道院があるんです。ちょうどたどり着いたときに朝焼けになったんですが、その光景が言葉にできないくらい美しくて。ブログの記事タイトルにも「この記事見ないと人生損します」と書いたくらい(笑)。修道院から祈りの歌が聞こえてきて、本当にこの世のものとは思えないような時間を過ごしました。
ちなみに、このメテオラに行くタクシーが高かったので、僕は最初、歩いて登ろうと思ったんです。そしたら途中で野犬が3匹現れて、「ガルルルルルルル…」と唸りながら歯を剥き出しでコッチに向かってきたんですよ。うわ…と思っていたらいきなりガッと走ってきたので、持っていたギターでぶん殴りました。ヤツらが狂犬病だった場合、噛まれたら死ぬじゃないですか。なんとか追い返しましたが、あれはヤバかったですね」