カリブの真珠キューバで出会った不思議で暖かい人々。-旅人美容師、桑原淳の世界一周の旅コラムvol.12キューバ編-
キューバのとても面白いところその4 人々があまりにも陽気すぎる!
よく南国に住む人々はみな陽気で暖かいと言います。 たしかに、東南アジアだったり、南の島に住む人たちはそういう感じがします。
だが、キューバはその比ではない。 僕が過去に行ったどの国よりも人々がフレンドリーで楽しそうにしていたんです。街を歩いても気さくに話しかけてくれる人ばかりでした。
それから施しの精神といいますか、なぜか人々は僕にモノをくれました。 ちょっと話して仲良くなると「ほらっ!これ」と手にもったビールを飲ませてくれたり、お菓子をくれたり。 貧しいと言われているはずなのに、物乞いをするどころか人に物を与えたがる人々をすごく不思議に思いました。
なかでも一番思い出に残るストーリーは、世界遺産の街、“トリニーダ”でカットしたときのことです。
地元の人が集まるビーチがあると言う情報を聞き、ハサミを持って行ってみることにしたんです。
「そこにある椅子をかしてくれない?」 アイス屋さんで事情を説明して椅子を借りようとしたところ、そこの店員さんが切ってくれと言い出したので海の目の前でカットすることになりました。
そうすると人が集まりだし、集まった人同士でワイワイしはじめました。 キューバ人はなぜかわかりませんが、みんながみんな友達みたいなんです。 みんなお互いのことをよく知っていて、まるで学校のような、田舎の近所付き合いのような感じです。
その日の夜宿に戻るとオーナーのレオにこう言われました。
「今日海で髪切ってた日本人ってお前か?友達がそんな奴がいたよって家に教えに来てくれたんだよ」
そうだよ、と答えると「じゃあ明日家の前でやったらどうだ?」と提案され、翌日路上に椅子を出しカットすることになりました。
フラフラ暇そうにしてたおじいちゃんを始め、フラフラ遊んでた女の子やフラフラ散歩してたおばちゃんを次々にカット。 そうです、なんかみんなフラフラしてるんです(笑)
人もたくさん集まり、写真を撮らせてもらうとみんな笑顔で楽しそうでした。 ちなみにキューバはアフリカ系移民が多いので、髪の毛はくるっくるな人が多いです。 なので男性はわりとバリカンで刈ってしまう人ばかりでした。
そんなキューバにはインターネットがありません。
いや、全くないわけではないのですが、特定のホテルや公園でかなり高額なお金を払うことによりWIFIにつなげることができます。ただあまりにも高く、現実的ではないためインターネットなし生活をしてるキューバ人や旅行者が圧倒的多数になります。
僕はこうしてリクエストQJナビさんにもコラムを書かせていただいてる他にも、自身のブログなどもやっているのでインターネットは必須!…のはずでしたが、いざそれがないとなるとなんと気楽なことか。
今まではいろんな人と連絡がとれないこと=不安なのかと思っていましたが、顔が見えない人と話していた時間は目の前にいる人との時間に変わり、それがなんとも楽しかったのです。
そんなとき、ふとこんな疑問が浮かんできたんです。
「今までどれほどの時間をネットに使ってきたのだろう?」
単純な疑問だけど、答えはさっぱりわかりませんでした。
メールしたり、ネットで何かを調べたり、フェイスブックを見てみたり。きっと、途方もない程の時間を使って来たのだと思います。
それだけでなく「誰かと過ごしてる時間さえもネットを使っていた」のだと思います。
家族や友達といるのに始まる沈黙の時間。
今や先進国ならどこの国に行っても同じ光景が見られます。
それがきっと現代の人の生き方。
でもネットがないキューバではその時間を人と話す時間に当てることができました。
終わってみると不思議とネットがないことが不便にも思わなかったし 、すごく楽しかったんですね。
今までの旅の中でこれほどまで誰かと一緒に過ごした日々はあっただろうか? と思うほど、毎日いろんな人と過ごしていました。
そうしてキューバ人と過ごした日々は現代に生きる僕にとっては日本では経験することさえ難しい事だったのかなと思いました。
今まで世界38ヶ国を旅して、いろんないろんな国民性みたいなものを感じてきましたが、キューバの人々は最高にフレンドリーで最高に優しかったです。
それが社会主義によるものなのか、ネットがなかったからなのか他の理由なのかは僕にはわかりません。
もしこの地を訪れたらいろいろ感じることがあるのは間違いありません。めちゃめちゃオススメの国なので、機会があったらぜひ訪れてみてください!
次回は、古き良き日本が残るパラグアイ、イグアス日本人居住区を訪れます。お楽しみに!
- プロフィール
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旅人美容師
桑原 淳 (くわばら じゅん)
山梨県出身。幼いころのからの「東京の一等地で美容師になる」夢を叶えるため、18歳で上京。日本美容専門学校卒業後は、都内2店舗で経験。「たった一度の人生だから!」という思いから、2014年3月にサロンを退社し、世界一周をして1,000人ヘアカットをする旅に出ている。
blog⇒http://junkuwabara.com/
(撮影・文/桑原 淳)
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