最果ての国ポルトガルで大西洋に沈む夕日を眺めながら…-旅人美容師の世界一周の旅コラムvol.7ポルトガル共和国編-
「世界一周をしながら、1,000人カットする! 」
そんな夢を抱きながら旅する美容師、桑原淳(くわばらじゅん)さんの人気連載! 毎月ひとつの国を取り上げ、美容師目線で見たその国の文化や情勢、住む人の特徴や髪質、実際にカットしてみたエピソードなどを紹介します。
こんにちは。旅人美容師の桑原淳です。
僕は現在、 “さまざまな国を周って1,000人カットする”という夢を掲げ、世界を旅しています。この度、好きな美容師をしながら、「ハサミ」一本でいろんな人に出会い、経験をしたことを、僕なりの解釈で紹介させていただきます。
今回は“ポルトガル共和国”(通称ポルトガル)について書きたいと思います!
ポルトガルは西ヨーロッパにあり、北と東はスペインと接していて、西と南は大西洋に面しています。ポルトガルはアジアも含めたユーラシア大陸最西端の国家です。
そのため、ヨーロッパ諸国の中でポルトガルは、世界に向けての「窓」のような存在でした。
大航海時代、ポルトガルはスペインと並んで世界を二分した国であり、アジアなどの地域と最初に接触を持ったのもポルトガルだと言われています。日本だと種子島に鉄砲がやってきた話が有名ですよね。
かつては世界屈指の強国だったのですが、現代のポルトガルは貧しい国なのだそうです。ユーロ加盟国の中で最も貧しいと言われ、 仕事が見つからない若者も多く、国民の所得は日本の3分の1程度。
そのためヨーロッパの中でも物価はとても安いです。男性のヘアカットは10ユーロ(約1400円)と、他の国に比べてもかなり安い値段設定になっています。僕が訪れた首都のリスボンでは、街を歩くと教会の入口などにはもの乞いが座っているのをよく見ました。リスボンは世界の中でも上位の”ホームレスが多い街”なんだそうです。
ですが、貧しいといってもヨーロッパ諸国に比べると治安は比較的いいそうで、人々はとてものんびりしている感じがしました。
僕は数々行った街の中でもリスボンが本当に大好きになったのですが、その理由としてそういったのんびりした空気が心地よかったこと、そして街並みがとても美しかったことがあります。
リスボンは我らが日本を代表するスタジオジブリの作品『魔女の宅急便』の舞台になったとも噂される街です。他にもクロアチアやトルコにも似た街があるそうですが、リスボンもその1つだと言われています。
ちなみに魔女の宅急便は英語だと『キキズ デリバリーサービス』というらしいですね。デリバリーサービスってなんかキキがピザでも運んできそうな雰囲気ですよね(笑)
リスボンは坂が多く、特徴のある建物が建ち並んでいます。
高台に立ち、街を見下ろしてみると確かにキキズ デリバリーサービスのような世界に見えます。
ですがひとつ映画っぽくない点をあげるとすると、いたずら書きがめちゃめちゃ多いのです。
僕はいたずら書きがある街の方がただでアートギャラリーを見て回ってるような気持ちになるので、それもこのリスボンが好きになれた理由です。
ヨーロッパといえばイギリスやフランスなどの洗練された国ばかりまわっていたので、ギリシャのアテネのようなどこか貧しいっていうか寂れている感じが新鮮でたまなくよかったです。