タイの少数民族“首長族”の村でカットして感じたこと -旅人美容師の世界一周の旅コラムvol.2タイ編

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カレン族とは、タイ北西部ミャンマーとの国境付近の山の中で生活している民族なんですが、女性が首に鉄の輪っかをはめて首を長く見せている “首長族”で有名です。

タイ第二の都市チェンマイに滞在していた僕は、せっかく近くにいるのだから彼らに会ってカットさせてもらおうと、その村まで行ってみることにしました。ツアーで行くこともできるのですが、僕は自由に動きたいという理由で単身カレン族の村へ。

 

まずチェンマイからバスで3時間の場所にあるパーイという町へ向かいそこで宿をとり、翌日そこからさらに車酔いするほどの山道を小さいバンで4時間かけてメーホーソンという田舎町に向かいました。

 

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もう目と鼻の先はミャンマーです。この何もない小さな田舎町からさらに15キロほど山奥に行くとカレン族の村があります。

 

町からはバイクタクシーのおっちゃんに交渉して、行き帰りと乗せてもらうことになりました。

山をどんどん登り、道路と川の奇妙な交差点をいくつも交わし、たまには象や犬や鳥とすれ違い、街から30分程走ったとこで到着。

 

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カレン族の村。

来て驚いたのが、村と言ってもただの細い道沿いに20程の木でできた小屋があるだけですごく貧しい感じがしました。

 

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実は、彼らはミャンマーの難民でこの山奥で貧しい生活をしています。外国人はこの村に入るために入場料を支払わないといけないのですが、その入場料が彼らの生活費の足しになるそうです。

 

ですが、僕の他に観光客はいませんでした。

僕は帰りのことを考えると村に滞在できるのはわずか2時間のみ。

英語は通じないと思ったので、タイ語で書いた看板も持ってきていましたが、一人英語が話せる女性がいたのでその人に話しかけました。

 

「僕は日本人の美容師です。世界を旅しながらいろんな人の髪を切っています。もしあなたたちの中で今髪を切りたい人がいたら、カットしたいんですが…もちろん無料で」

「男?女?」と聞かれたので「誰でも!」と答え、その女性の旦那さんをカットすることに。

 

 

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カットを始めると、それを見て村の人々が集まってきて「次は俺!私も!」と切る人がどんどん決まっていきました。

 

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ミャンマーの兵士みたいにしてくれと注文してきたおじいちゃん(全然わからない…)やデイビッド・ベッカムにしてくれといってきた男の子などをカットしていたらあっというまに1時間半が過ぎていました。

 

「ミャンマーの兵士」をリクエストしたおじちゃん

「ミャンマーの兵士」をリクエストしたおじいちゃん

「ベッカムヘア」をリクエストしてくれた

「ベッカムヘア」をリクエストした男の子

 

おじいちゃんたちをカットしながら、集まったみんなとたくさんのことを話して、それが楽しくて。

話を聞くと、首長族のすべての女性が輪っかをしているわけではなくて、一部の選ばれた女性のみつけているということで、起源や理由も諸説あるけど、本当のところはわかりません。

ですがそうして見世物みたいにして観光客からお金をもらっていることに対し“人間動物園“という批判があるのも事実で、非常に難しい問題だと感じました。

 

最初はあの首長族と言われる首が長い人たちの髪を切りたいなと思って来たけど、だんだんそれは違うのかなと思い始めてきました。

そんな人たちの髪を切りたい! なんて思ってここに来た時点で僕の気持ちの中で「ただ珍しい人の髪を切った」 という事実がほしかっただけなのかなと、すごく申し訳なくなってきてしまって。

有名人をカットしました! みたいなそれってただの美容師のエゴだなって思い少し反省。

 

目の前の人が笑ってくれているんだからもうそれでいいかなって、掃除して帰ろうとしたところ、最初に話しかけてからずっと英語で通訳してくれていた女性が僕に水を差し出してこう言いました。

 

「暑いでしょ?ありがとう。あなたが時間あればみんな切ってほしいみたいだけど、もう時間ないからね…最後に私トライしてみる! でもあんまり切らないでね(笑)」

彼女は確かに 「トライ」 と言い、僕にはその意味がわかりませんでした。

切りたくないけど、切らせてあげるって意味なのか、それとも僕がしていることが珍しいから切ってみるのか…。

でもせっかくお願いしてくれたんだから余計なことは考えずに切りました。

 

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カレン族の首に輪っかをつけている女性たちは前髪だけ切る人もいるけど、 基本髪は切らないそうです。

彼女も最後に切ったのはいつか覚えてないほど昔と言っていました。

希望の長さで切って、前髪も流れるように。

 

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切り終わって、あと15分余っているからと、もう一人カットをお願いしてきてくれました。

 

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カットクロスを巻くときに輪っかに触れてみるととても重々しく、硬かったです。

彼女たちを実際にカットしてみたら頭と肩と首のバランスがすごく違ったので驚きました。

結局この村で、2時間で7人をカット。

 

最後に村を出るときに、カットした人にもしてない人にも笑顔で手を振りながら「ありがとう」と言ってもらえました。

 

村の細かい所は見なかったし、写真も全然撮らなかったけど、カットをしたことで喜んでもらえたことや村の人たちとたくさん話ができたことに僕は満足でした。

 

最後にタイの美容事情について少し書きます。
タイにも美容室はたくさんあります。都市部と田舎ではやはり価格は違いピンキリですが、

ローカルの美容室ではカット300円~、ストレートパーマ+カット+ブローで2500円程度だそうです。

 

ショッピングセンターなどに入っているような美容室だとその2~3倍の料金、日系美容室だと日本とさほど変わらないような料金設定になっています。

 

タイで現地の女性をカットしていて思いましたが、ショートにする方はほとんどいませんでした。

長さはキープしつつ顔周りにレイヤーを入れて少し軽く見せるスタイルが人気。

女性らしさ、セクシーさを求めるかたが多くて、かわいい感じはあまり人気がないようです。

それにロングヘアのほうが男性にモテるそうです。

また、男性はすっきりベリーショー卜ヘアの方が多かったです。

中には髪が少なく見えるのが嫌だという理由でセニングシザーは使わないで欲しいという方もいました。

ですがバンコクなどの都市ではオシャレなヘアスタイルの若者も目にすることが多かったです。

 

タイは非常にのんびりとしていて、物価も安いのでゆっくりロングステイに最適です。

微笑みの国と言われるだけあり、みんなとても笑顔が素敵で、そして親切なので現地の友だちもすぐできるかもしれません。

また僕はタイ料理が大好きです。

屋台巡りをしながら街歩きをするだけでも十分楽しめます。

次の旅行で行ってみてはいかがでしょうか。



次回は、死者の街“バラナシ”に衝撃!カレー大国“インド”を紹介します。お楽しみに!

 

プロフィール
旅人美容師
桑原 淳 (くわばら じゅん)

山梨県出身。幼いころのからの「東京の一等地で美容師になる」夢を叶えるため、18歳で上京。日本美容専門学校卒業後は、都内2店舗で経験。「たった一度の人生だから!」という思いから、2014年3月にサロンを退社し、世界一周をして1,000人ヘアカットをする旅に出ている。
>blog http://junkuwabara0614.blog.fc2.com/

 

  桑原淳さんのバックナンバー

カンボジアの孤児院で青空美容室! 旅人美容師の世界一周の度コラムvol.1カンボジア王国編

 

 (撮影・文/桑原 淳)

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