カンボジアの孤児院で青空美容室! 旅人美容師、桑原淳の世界一周の旅コラムvol.1カンボジア王国編
髪を切っているときに、孤児院の庭を元気に走り回る小さな子どもたちを、松葉杖をつきながらニコニコ見守っていた男の子がいることに気がつきました。
彼の名前はダロ。14歳の中学生。
ダロ君は過去に地雷の被害にあってしまい、片足をなくしてしまったと聞きました。僕はカットしながら、中学生くらいの子みんなに「将来何になりたいの?夢はある?」と聞いていたんですが、ほとんどの子が「観光ガイドになりたい」という中、ダロ君だけは「将来は医者になりたい!いろんな人を助けたいから。だから学校でも勉強を頑張っているんだ」と言っていました。
子どもたちとは英語で会話していたんですが、他の子に比べると彼はずば抜けて英語が上手で、他にもフランス語も少し話せると言っていました。カットした後も、彼は日本についてたくさん質問をしてくれて、日本の桜や紅葉やお寺や神社の写真を見せたり、雪の話や歴史の話などをしたらすごく喜んでくれました。
彼が今までの人生で経験したこと、そしてこれから経験することは僕にはわかりませんが「髪を切る」ということを通して出会えた彼と彼の素敵な夢を心の底から応援したいと思いました。そして頑張っている若い彼に刺激され、僕も頑張ろうと思えました。
カンボジアにも、もちろん美容室があります。カットの相場は150円〜500円ですが都市部では近年少し相場が上がってきているそうです。気温が高くとても暑いので、男性はみんなスッキリとベリーショートスタイル。でも女性はみんな髪を切りません。なぜならカンボジアではロングのストレートヘアが女性に人気!
ちなみにカンボジアには「美容師」という言葉はありません。 代わりに「カッソ」という言葉があります。クメール語で“髪を切る人”という意味です。つまり僕たち美容師はカンボジアでは「ただの髪を切る人」になってしまいます。
僕が訪れた街では、同じ宿に泊まっている宿泊客、隣近所のカンボジア人、タクシーの運転手さんなどのカットをしていました。
街に滞在して数日経つとその様子を見ていた人たちから
「カッソ!今日髪切ってよ!」
「カッソ!昨日は何人カットしたの?」
「カッソ。一緒にビール飲もう!」
そんな風に、声をかけてもらうようになりました。僕はいつの間にか観光客からカッソになっていたようです。
みんなニコニコ笑顔でフレンドリーに声をかけてくれるのですぐに仲良くなれるし、そんな人懐こい人が多いのもカンボジアの特徴でありすごくよい所。
観光名所もあり、自然もあり、人もすごく温かいカンボジア。観光目的で訪れても、僕のように美容師としてカットしに行くのもオススメの国です!
次回は、ロングステイに最適!微笑みの国“タイ”をご紹介します。乞うご期待。
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- プロフィール
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旅人美容師
桑原 淳 (くわばら じゅん)
山梨県出身。幼いころのからの「東京の一等地で美容師になる」夢を叶えるため、18歳で上京。日本美容専門学校卒業後は、都内2店舗で経験。「たった一度の人生だから!」という思いから、2014年3月にサロンを退社し、世界一周をして1,000人ヘアカットをする旅に出ている。
>blog http://junkuwabara0614.blog.fc2.com/
(撮影・文/桑原 淳)
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