人材不足の時代に、あえて3年制に踏み切った理由。東洋理容美容専門学校が考える、業界貢献の新しい姿
美容の仕事をとおして、どう社会と関わっていくかが伝えたいこと
−免許取得以外の知見を得て卒業したら、仕事への向き合い方も変わってきそうですね。
美容の仕事を通してどう社会と向き合うべきかも、実際に現役で活躍している講師を招いて伝えていくことを考えています。仕事ができればそれでいいということではなくて、社会にどう関わってどのように貢献していくかが人生。社会人スタートの段階で、そこを考えながら働いたらサロンや業界の見え方も少し変わってくるのではと思っています。
美容業界の学校というと、もともとが免許を取るための養成施設なんですよ。もちろん必要なんですが、それだけだと卒業生との繋がりもなくなってしまうし、一定の技術と知識を身につけた優秀な学生を送り出すことで、業界に少しでも貢献がしたい。そうすることで、たとえば研修期間の短縮や待遇など、学校側からサロン側に改善を提案することがもっとできるようになるのではないかなと。そのあたりのことも考えています。
−業界貢献というお話が出てきましたが、美容業界に学校側として期待することはありますか?
各所で言われていますが、業界の地位向上ですね。そのためにまずこの時勢を考えて、料金を値上げしてもいいのではと思っています。コロナ禍を経て、サロンは消毒などの設備に投資もしていますし、客席を間引いたり、予約の間隔を空けたりと負担は大きい。どこだって絶対に経営努力をしているのだから、怖がらずに料金を上げることが、長い目で見て自分たちのためになるはずです。また、値上げの話も関連してきますが、技術者を大事にしてほしい。美容師は、何年もかけて得た自分の技術にプライドを持って仕事をしています。そのプライドを安く買われ、コマのように使われる美容師がこれ以上増えてほしくない。私たち学校側でも、業界の地位向上の一端を担えるように今後もいろいろな改善策を提示していきたいですね。
学校法人東洋理容美容学園理事長
東洋理容美容専門学校校長
柴入裕一(しばいりゆういち)
千葉県の東洋理容美容専門学校の理事長を務めながら、千葉県立私立学校審議会委員、関東地区理容師美容師養成施設協議会千葉県役員、岩手理容美容専門学校理事長、東北ヘアーモード学院理事などをはじめとした学校教育での要職を多数兼務。
(文/QJナビDAILY編集部 撮影/松林真幸)
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