シンガポールで創造! 新しい美容師の価値
距離的には日本と身近でありながら、さまざまな文化や民族をもつアジアの国々。中国の人口13億人、インドの人口12億人など世界の人口の53%を占める37億人が暮らしている一大消費市場でもあります。そんな文化的にもビジネス的にも魅力あふれるアジアで展開される日系美容室。歴史も文化も言葉も食もさまざまな都市で、土地と人に受け入れられる日系美容室のあれこれをのぞいてみました。
◆前回までのアジア日系美容室特集はこちら
第2回目は都市国家シンガポール共和国の美容室CLEO HAIR INTERNATIONAL PTE.LTD.。東京23区ほどの面積で、高度に都市化された島国シンガポール。ITハブや医療ハブ、商業都市としてアジアの中心になりつつあり、文化的にも多民族国家ならではの、さまざまな宗教、食文化、習慣があります。理想的に多民族が融合し合うシンガポールで地元シンガポーリアンの圧倒的な支持を集めるラグジュアリーサロンにお話しをうかがいました。
外国人率25%! 若手美容師にもチャンスの国!?
もともと南青山に隠れ家プライベートサロンを構えるCLEO。“日本の美容業界の生産性の低さを世界に出ることによって変えたい!”という想いによってシンガポール進出を果たしました。日本国内で培ったスキルを元に他国への教育、ビジネスなどにつながる新しい美容師の形を目指している同サロン。同時に、日本の若い世代の美容師の新しい働き方を作るための海外展開でもありました。
人口の25%が外国人というシンガポールは、日本文化や日本食へのアクセスもよく、たどたどしい英語を使う外国人にも優しい、若い日本人美容師にとって生活しやすい環境です。出店した2012年当初シンガポールの若者たちはまだファッションに目覚めていない状態。そこにもビジネスのチャンスを感じたのも進出の大きな理由でした。
シンガポーリアンに愛される日系美容室
シンガポールの日系美容室は日本人とローカルのお客さまの割合が5:5ぐらいが多いそうですが、CLEOのお客さまは9割以上がローカル。地元の人たちに高い支持を受ける理由は、日本流というより、より幅広いスタイルを日本の高い技術で提供していること。シンガポールでは今Ombre(グラデーションカラー)などテクニカルなカラーが人気で、客単価も日本円で¥25,000以上という高単価。美意識が急速に高くなってきていることがうかがえます。
多民族国家のシンガポールではさまざまなタイプのお客さまが来店します。そんな環境の中でもっとも重要なのは意外なことにディスカッションよりもプロとしての提案とアプローチ力だそうです。
わたしもシンガポールで美容師を!
シンガポールには美容師免許に当たるものがありません。美容を学べる学校はありますが日本のように整ったカリキュラムではありません。日本で施術をしていた美容師であれば、技術の高い部類に入るでしょう。
ビザについては美容師の場合Sパスというものが必要になります。申請条件は専門学校、短期大学もしくはそれらと同等かそれ以上の学歴があり、かつ月額給与が2,200シンガポールドル(日本円でおおよそ20万強/2015年7月現在)以上であることです。雇用主が手続きを行い、費用も負担するのが一般的です。
これからの日本人は世界を見ましょう! というCLEOさん。若手美容師さんには違う国での生活、経験で新しい価値観・常識を生み出し、未来をかえて人生を楽しんでほしいとのこと。多彩な民族が織り成す融合の国シンガポールでボーダレスな美容師生活を楽しんでみるのはいかがでしょうか?
(取材・文/QJナビ編集部)
取材協力
CLEO HAIR INTERNATIONAL PTE.LTD.
www.cleohairsg.com/en/
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