【vol.4】営業継続、休業決定。それぞれのサロンがしていること(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)
新人研修、休業時のアシスタントのレッスンは?
休業中のサロンの多くはzoomやLINEグループを活用した朝礼や終礼を取り入れていた。
中には、「どうしてもメンタルが不安定になりがちだから、幹部やオーナーとの個別のオンライン面談を組んでいる」といったサロンも。
経営陣から毎日動画でメッセージを発信しているというサロンもあり、スタッフへの語りかけの重要性を感じた。
また、休業中のサロンでは、新人研修やアシスタントのレッスンが大きな課題になっている。サロンによっては、1年生は自宅待機のまま、まだ顔合わせもできていないというケースも少なくない。
そんな中、サロンが休業に入る前に、急ピッチでレッスン動画を撮り研修に活用していると話してくれたのが、ソシエグループの諸星ニコライさん。
自宅でのレッスンに使われているのは、セット面へのご案内から、シャンプー、カラーやパーマの塗布など、14本の動画。
必要な技術や接客が映像とテキストでまとめられ、スタッフがそれを見ながら自宅でレッスンできるという。
利用しているのは、スマートスタディというツール。スタッフがどの動画をどこまで見たのかもチェックできて、進捗の確認も楽だという。
「美容師の仕事は、テキストだけ読んでもわからない部分が多いものです。とくに新卒の人たちにとっては、動画があることでイメージがしやすいようです。これで1カ月遅れのスタートも、少しでもカバーできればと思っています」(諸星さん)
動画を編集するとなると難易度が高いかもしれないが、レッスン内容を映像で届けられるだけでも、新入生&アシスタントさんにとっては価値が高いだろう。
この先、休業に入る可能性が考えられる地域のサロンでも、今から準備すれば応用できそうだ。
ほかにも、
・レセプショニスト同士、この休業期間をつかってワークフローの確認をしあっている。
・無料で公開されている美容師さんのレッスン動画を見て感想をシェアしあっている。
・技術面だけではなく、人として成長する時間にしてほしい。課題図書を設定して、読書感想会を行っている。
・お客さまにご様子伺いやスタイリングアドバイスのDMを送ることを推奨している。
というような意見も。
「新人やアシスタントは、明確に課題を与えないと、どうしても1日を無為に過ごしてしまう。彼らが取り組める課題を考えるのも、いまは大事な仕事」と考えている経営者や幹部スタッフが多かった。
取材後記
取材中、休業を決めた代官山CANNAの五十嵐洋子さんが、こんなことをおっしゃっていました。
「海外のニュースチャンネルを見ていたら、武漢の映像が出てきたんです。緊急事態宣言も封鎖も解かれた街では、美容師がお店の前で防護服を着てお客さまの髪をカットしていました。美容室や床屋はまだ営業再開していなかったけれど、店の外にお客さまがちゃんと間隔を開けて並んでいる映像を見て、涙が出ました」。
その列に並んでいたお客さまは、テレビカメラにむかってこう言ったそうです。
「外に出てまず最初にしたいことは髪を切ることだった」
と。
その言葉を聞き、「もう一度営業再開するときまでお店をもたせることさえできたら、必ず復活できる。美容の仕事はなくなることはない」と、その経営者の方は思い、休業を決意したといいます。
その話を聞いて、私自身も涙が出ました。
休業しているサロンさんも、営業を継続しているサロンさんも。どちらを選んでも、いまは本当に苦しい状況にいらっしゃると思います。サロンによっては、テナントの状況によって店舗ごとに働き方が違う状況も生まれています。誰もがいままで経験したことのない難題にぶつかっています。
最近になって、何度か美容師さん同志のzoom情報交換会を開催してみました。
お互いの状況をシェアし、アイデアを共有することで、Aサロンの課題をBサロンが、Bサロンの課題をCサロンが解決できるシーンを何度か見ました。この機会にオンラインでのサロン間交流を進めてみるのも良いかもしれません。
この連載でもいろんなサロンさんの有益な情報を共有できるように意識していきます。みなさん、またお目にかかれる日まで、本当に本当に、お身体に気をつけられてください!
(vol.4完)
- プロフィール
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佐藤 友美(さとう ゆみ)
日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)
(取材・文/佐藤 友美・イラストレーション/カツヤマケイコ)