美容師が知っておきたい最新コロナ情報vol.1 カルテ共有、手袋、SNS発信、店舗隔離、そして休業。いま、サロンのコロナ対策は?
いちはやく休業を決意したサロンは今
非常事態宣言が出る前から、自ら非常事態宣言を出し休業を決意したサロンもある。GOALDの代表中村トメ吉さんは、4月4日土曜日に休業を決意。朝に決断し、昼にスタッフに話をし、夕方にはお客さまに告知をした。
Instagramでの投稿
GOALDは顧客層が男性で若かったこともあり、3月の売り上げがオープン当初から2倍になったタイミングだった。結果的に、営業利益的にはもっとも上がった時期に休業を決意したことになる。
「経営者は会社の存続を一番に考えなくてはいけない存在だけれど、今はスタッフとお客さまの健康が優先だと感じました。会社は、意志と信用が集まれば、またいつでも作れますから」
と、トメ吉さんは言う。
この判断に、スタッフも快く賛同してくれた。
「それまでは自分自身も状況に合わせて毎日考えが変わっていたのだけれど、ここでいち早く腹をくくれたことで、スタッフも一致団結し、次の動きが早くなった」
休業中のスタッフに対して大まかな目的とミッションは伝え、休業中でもできるSNSでの投稿や動画発信をそれぞれ進めている。
顧客からも、
「絶対また行きます」
「大変だろうけれど、頑張ってください」
などのメッセージが続々と届いているという。
マスクや除菌剤を送ってくれるお客さまもいたそうだ。
「閉めるという決断をしたあとは、脳がフル回転しています。僕らの仕事は営業しないとキャッシュポイントがない仕事だけれど、そもそもその仕組み自体を見直す必要があるのかもしれない。それをこれから休業中に考えることで、収束後の見える景色が変わるだろうなと思っています」
いまこそ経営者の声をスタッフに
取材を通して感じたのは、経営者が自分の言葉でスタッフさんに
「自分はこのような姿勢でスタッフとお客さまのことを考えている」
「給料が減った場合の補償は、現状こう考えている(今は確約できないがこのような資金繰りに動いている)」
と、宣言されたサロンでは、スタッフさんのメンタルがとても安定しているように感じられこと。むしろこの危機をきっかけに一致団結感がさらに強まったという声もあった。
一方で、
「いま、オーナーが何を考えているのか全然わからない」
と話すスタッフさんもいて、そのようなサロンでは、学級崩壊ならぬサロン崩壊が始まっている。事態が収束しても、遺恨が残ってしまっては、その後のサロン経営も難しくなってしまうかもしれない。
私が言うのも僭越ですが、いまこそ、経営者の方々の信念や考えをスタッフさんに伝え、サロンの向かうべき先を示すべき、重要な時期だと感じます。
(vol.1完)
この連載では、これからも、海外のサロン事情、専門家のインタビュー、全国のサロンの取り組みを紹介していく予定です。取り上げてほしい情報や、調べてほしいことがありましたら、さとゆみまでご一報ください。
みなさん、またお目にかかれる日まで、本当に本当に、お身体に気をつけられてください!
- プロフィール
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佐藤 友美(さとう ゆみ)
日本初、かつ唯一のヘアライター&エディター。『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)は、NHK「あさイチ」でも特集され、8万部を超える大ヒットに。「美容業界と一般のお客さまの橋渡しになる」ことをミッションに、数々の企画を担当する。最新著書は『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)
(取材・文/佐藤 友美・イラストレーション/カツヤマケイコ)
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