美容師が知っておきたい最新コロナ情報vol.1 カルテ共有、手袋、SNS発信、店舗隔離、そして休業。いま、サロンのコロナ対策は?
イラストレーション/カツヤマケイコ
みなさまお久しぶりです。ライターのさとゆみ(佐藤友美)です。
今現在、新型コロナウィルスによって、どのサロンも経験したことのないフェーズに突入しています。
みなさんそれぞれ、サロンで、または個々人でいろんな情報を集めていると思いますが、できればその情報を共有しあって、美容院同士、美容師さん同士が支え合える場があればうれしいという声を受け、QJナビDAILYで連載をスタートすることになりました。
正解がない時代を私たちは今、生きています。たとえそれが正反対の決断だったとしても丸バツをつけるのではなく、すべての勇気ある決断を支持しあい、助け合えるような場を目指したいと思っています。
初回は、コロナ対策として、サロンさんが取り組んでいることをご紹介します。(情報は2020年4月6日現在)
地元でカットするお客さまにカルテを提供。「公認浮気」に
原宿でフリーランスの美容師として働きながら、新百合ヶ丘にもサロンを持つ高原卓玄さん。3月末くらいから、お客さまの動向に変化が見えてきたことに気づいたそう。
「原宿のお客様が20%ほどダウンし、新規はほぼゼロになった一方で、妻が働く新百合ヶ丘のサロンには新規が大量に増えたんです。これは、普段電車を乗り継いで都心のサロンで切っていた人が、コロナの影響で家の近くのサロンに流れているんだろうな、と感じたんです」
原宿のサロンに通ってくる高原さんの顧客は、千葉県・埼玉県・神奈川県のお客さまも多い。サロンに来て欲しいのはやまやまだけれど、今は躊躇する気持ちもわかる。そこで高原さんがとったのが「地元のサロンに行かれる方には、カルテを提供しますから、言ってください」と呼びかけることだった。
「もちろん美容師さんはプロだから、カルテがなくてもだいたいの施術履歴はわかると思います。それでも、いつ白髪染めしたか、パーマしたか、薬剤は何だったかがわかれば、施術がより楽になると思ったんですよね」
ブログでの投稿
そこで高原さんは、今はサロンに来ることができない人たちのホームケアができるようにと、ブログでお客さまへトリートメントの無料発送を告知し、同時にカルテ提供を申し出た。連絡があったお客様には、LINEで施術履歴と使用薬剤を送っている。
顧客を地元のサロンに送り込む。ひょっとしたら戻ってきてくれないかもしれない。そうは考えなかったのだろうか? そう聞くと、高原さんは「いまはピンチだし、美容師同士でお客さまを奪い合っている場合じゃないと思った」と言う。
「お客さまはコロナでストレスがたまっていらっしゃいます。こういうときこそ、美容がお客さまの心の支えになるはずです。今、僕たちの仕事が、一番人を喜ばせられるときだと思うんです。だから、自分のところに来られないなら、地元の美容師さんに託したいと思いました」
カルテを渡すことはいわば「“公認浮気”のようなもの」と高原さんはいいます。コロナが収束したあと、「一度地元で浮気しちゃったから、もう原宿には行きにくい」というお客さまの罪悪感で失客するよりは、「地元で切ってきていいんですよ」と伝えたほうが、戻ってきてくれるお客さまも多いのではないかと考えているそう。
まだ告知してから日は浅いが、すでに8人の顧客からカルテが欲しいという連絡がきているという。
合同レッスンやSNSの発信も、いまは慎重に
今回、全国数十軒のサロンに取材をさせてもらったところ、サロンで取り組んでいる対応については、以下のようなものがあった。
・店舗間移動の禁止
まず東京では、店舗間での人の移動、薬剤の貸し借りを禁止したサロンが目立った。ひとつの店舗で感染者が出た場合、人の行き来があると全店舗を閉めなくてはいけなくなるからという理由だそう。店舗の違うスタッフ同士の合同レッスンやミーティング、食事会なども控えるようにしているという。
・SNS発信
また、SNSでの発信に注意を払っていると話してくれたサロンも。「コロナに効く」という商材情報を書き込んだ美容師さんの投稿が炎上しかけたのを例にあげながら「今はエビデンス(証拠)が不明な情報が多いから、コロナに関して情報を拡散することは控えさせている」というサロンも多かった。有名人や顧客の来店写真、撮影風景の写真をあげることも、どちらかが感染した場合、大きなリスクになる。
・手袋のお渡し
「顧客にも布手袋をお渡ししている」というのは、アピッシュグループ(現在は休業中)。お客さまの中にも接触感染を気にする方が増えたのをうけての施策。全てのお客さまに受付で使い捨ての布手袋をご案内し、施術後にはお預かりしてサロンで破棄しているという。
・店内ポスター
比較的早い段階で感染者が増えた北海道。札幌市のアルティ コアでは、店内に「マスクをしたまま全ての施術ができます」というポスターを貼っているそう。「シャンプーをするときに紐の部分が少し濡れてしまうのですが…というご説明をして、それでもいいという方には、シャンプーもマスクをしたまま施術させていただいています」と、マネージャーの米田美由紀さん。マスクをしたまま施術したいと言うお客さまは少し前までは3割ほどだったが、今では半数近いそうだ。
マスク着用OKの店内ポスター
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