角薫さん&ちはるさん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第15回「共感の人」

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る新企画です。第15回めは初の2人組「共感の人」。RUALAの角薫さんとちはるさんです。

 

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(イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

プレイヤーで、マネージャーで、そして女で

 

以前、この連載で女性美容師さんのメンタリティの変遷について書いたことがあります。

 

まだ読んでないよーって方のためにちょっとだけおさらい。

①「職業婦人としての女性美容師」(昭和の美容を立ち上げた世代)

②「男性と闘って勝ち残った強い女性美容師」(カリスマ美容師ブームを体験している世代)

③「女性らしい感性で“らしく”働く女性美容師」(女性美容師ブームで取り上げられた世代)

 

このうち、とくに表参道近辺で働きメディアに出ている女性美容師さんたちは、②世代か③の世代かによって、別人種と言っていいほどメンタリティが違うと思っています。

だいたい、この②と③を分ける境目が、40歳±2歳くらいかな。

 

この②世代か③世代かというのは、単に年齢だけの話ではなく、主に男性美容師で作られた「カリスマ美容師ブーム」の影響を、どのポジションのときに受けたかが分かれ道。

 

それでいうと、角さんとちはるさんはまさに、カリスマ美容師ブームに沸いた2000年以降、もっとも早く表に出てきた女性美容師だったと感じます。

どのサロンも幹部は男性。テレビに出るのも雑誌に出るのも男性ばかりだった美容業界で、颯爽と現れたのが、角さんとちはるさん。②世代の象徴とも言えるお二人です。

 

しかも、デザインだけが注目されたわけではなく、大手サロンの店長を任され、自分よりも年上の男性陣を仕切っていることも、いつも話題になった。

そして、仕事だけならまだしも、彼女たちには、当時からそれぞれパートナーがいて。

仕事と家庭を両立しながら、売り上げも叩き出しながら、数十人が在籍するトップサロンの店長であることを続けた20代。

プレイヤーとして一番輝く時期に、管理職のポジションも任された二人にかかった重圧は、とてつもなく大きなものだっただろうと想像します。

 

当時、彼女たちはいろんな「責任」を背負って撮影に臨み、取材を受けていた。少なくても私はそう感じました。

 

デザイナーとしていいデザインを作らねばという責任

組織のトップとして後陣に背中を見せねばという責任

女性美容師の代表として、期待に応えねばという責任

 

さまざまな思惑の渦中で、プレイングマネージャーとして高いアウトプットを求められていた角さんとちはるさんは、その当時、すごく張り詰めた空気を持っていたように思います。

ものごしはやわらかいのだけれど、触れれば切れる、そんな緊張感をまとっていました。

 

私は、この頃、原宿の飲み屋でたまたま会った角さんが、酔っ払って泣いてたことがあるのを覚えています。

ちはるさんも、取材の最中、ときおり目の隅っこに涙をためることがあったのも覚えています。

 

その当時、彼女たちが流していた涙は、悔し涙だったと記憶しています。

そして、その悔し涙はいつだって「もっと自分は頑張れるはず」という、驚くほど前だけを向いた涙だったように見えました。

次の日から、彼女たちはまた戦場のような(正直、当時の仕事ぶりは戦場のような激しさだったと思う)フィールドに戻り、歯をくいしばって(でも、お客さまには最高の笑顔で)、走り続けたのでしょう。

 

 

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