浦さやかさん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第10回「感性“だけ”じゃない人」

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る新企画です。第10回めは「感性“だけ”じゃない人」otope浦さやかさんです。

 

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(イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

 

「感性の人、浦さやか」は「感性“だけ”じゃない人」

 

個性的で、独特の世界観を表現して、突拍子もないことを思いついて、美容業界でも唯一無二の存在。

 

そんな浦さやかさんの

 

ごくごく普通っぽい見た目をしていて、モテな巻き髪を提案してくれて、そして低めの抑制された声で論理的に巻き髪のプロセスを解説してくれたときのことを話せたらな、と思います。

というのも、浦さんは、本当にぶっ飛んだ感性を持った人だと思うのですが、同時に、とてもわかりやすく「かわいいの理由」を技術と結びつけて説明できる、論理的な人だと私は思っているから、なんですよね。

 

と、その前に。

 

この美容師列伝で浦さんのことを書かせてもらおうと思ったので、遅まきながらotopeにお邪魔しました。

カンカンカンカンと音が響く階段をのぼったマンションの一室、浦さんは、落書きされた白衣を着て出てきたよ。サロンの中では不思議な音楽がかかっていて、そこには大人のおもちゃ箱をひっくり返したような、「浦さやかワールド」が広がっていました。

打ち合わせのテーブルには、分解されたキーボードのボタンが全然整列しないで貼り付けられていて、色も形もまちまちのいろんなものががちゃがちゃしているように見えるのだけれど、でも全部がやっぱり浦ワールドなので、空気がとっても澄み切っている。私のotopeの第一印象です。

 

otopeというサロン名は「オノマトペ」からとっていると聞きました。オノマトペとは、擬音語と擬態語のこと。たとえば、ぽよよーんとか、ほわわーんとか、これ、オノマトペです。

人間の髪っぽくない質感になるほどブリーチされた髪の浦さんと、とりとめのない話をしているうちに、そうそう、浦さんって、初めてあった日はオノマトペだけで会話していたよね、って思い出しました。あのころの浦さんは、いまの浦さんが想像できないくらい、いたって普通の目立たない格好をしているおとなしい女性でした。

 

あれはまだFLOWERSがオープンしたばかりのとき。まだ、浦さんを含めてスタイリストさんが3人しかいなかったころのことです。

FLOWERSの代表高柳さんは、当時、エレガントヘアの提案がとても支持されていて、サロンのお客さまも品のいいレディな雰囲気のOLさんがメインでした。

その流れで私も浦さんに、あるモテ系雑誌で巻き髪のページをお願いしたんですよね。まだ撮影に慣れていなかった浦さんのために、現場には高柳さんが同行してアドバイスをしてくださいました。

 

浦さんが作ってくれた巻き髪ヘアはとてもナチュラルで抜け感があって、私たちは「かーわーいーーー!」なんてテンションあがりながら、その仕上がりを撮影してたんです。その様子を見て安心した高柳さんは「では、僕は営業に戻ります」と、現場をあとにされました。

 

でも、ちょっとした問題が起こったのは、そのあとすぐでした。その巻き髪がどうやってできているか、そのプロセスを撮影させてもらおうとしたときのことです。

 

 

 >好きなことは消えたりしない。何歳になってからでもできる

 

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