いま日本で一番予約のとれない美容師。モテ髪師・大悟さん。ヘアライター佐藤友美がみた美容師列伝 第8回「モテさせる人」

「ヘアライター佐藤友美がみた 美容師列伝」。日本全国の美容師を取材してきたヘアライターの目線から、毎回「●●な人」を紹介し、その素顔に迫る企画です。第8回目は「モテさせる人」。Peaceのモテ髪師、義永大悟さんです。

 

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(イラストレーション:カツヤマケイコ)

 

365日のうちの、360日側をサポートする人

 

私はブログでも講演でもよく「ハサミの力」という言葉を使う。「美容師さんのハサミの力で、世の中の女性を素敵にしてくださいね」って感じで。

 

つまり、カットデザインこそがプロフェッショナルな美容師さんのプロたるゆえんであって、美容師さんが美容師免許を持てている理由だと思っていたふしがあります。

 

そう、今年、大悟さんに再会するまでは___。

 

久しぶりにお会いした大悟さんは、超有名人になっていた。

TV番組『人生のパイセンTV』で過去最高の視聴率を叩き出し、大悟さんの挨拶「ぐっちょりーす!」は、LINEのスタンプにもなり、サロンの電話はずっと鳴りっぱなしで予約殺到、3ヶ月後まで一切予約がとれないし、雑誌でもどんどん特集を組まれている。

 

そんな大悟さんに会って、しばらくしゃべって気づいたこと。

それは、「ああ、美容師さんの仕事って、カットをすること(だけ)じゃなくて、ヘアで『女性を美しくすること』全部をさすんだな」という、当たり前のこと。

 

そう。当たり前だけど、私たちは、ちょっと、ときどき忘れてしまう。お客さまは、365日のうち、5日くらいしかサロンにこなくて、だから365日のうち360日は、自分の家で自分の髪をいじっているということについて。

 

もちろん、世の中の女性が、自分のヘアスタイルを好きになりたいと思っていることや、それで自分に自信を持ちたいと思っていることを、美容師さんたちはみんなよくわかっていて、だからヘアデザインでその手助けをしようとされているわけだけれど。

でも、そのために美容師さんができることって、ヘアサロンで施術する技術だけじゃないんだよね。

365日のうちの360日に、どんなスタイリングをすればいいか、どうやって髪を扱えばいいか、そこを美容のプロとして徹底して指導するという道もあったわけだ……。

と、大悟さんに出会って気づいたわけです。

 

大悟さんは、初回のお客さまにはカットにプラスして、もれなく、というか、強制的に1時間の「美人髪コンサル」という名の巻き髪講座をセットにしています。だから、大悟さんのお客さまは、全員が全員、自分で「巻ける」人になって帰っていく。

スタイリングがうまくなっちゃうと、少々伸びてもスタイリングでどうにかなっちゃうから、来店頻度は長くなってしまうらしい。

それでも、彼女たちの360日側が美しくありますようにと考えて続けている、大悟さんの巻き髪講座。

 

女性を美しくすることが、美容師さんの「使命」だとしたら、これほどまでに美容師の「使命」をまっとうしている人はいないんじゃないかな。

 

 

>「モテる」とはすなわち、大切にされること

 

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