正しい人に正しいカット。MINX岡村享央さん。ヘアライター佐藤友美がみた”美容師列伝” 第7回「チャラくない人」
正しいデザイン、正しい生活、正しい人生
可愛いデザイン、美しいデザイン、スタイリッシュなデザイン、綺麗なデザイン、モードなデザイン……。
髪型を形容する言葉には、いろんな言葉があるけれど、岡村さんはしばしば「正しいデザイン」という言い方をします。
私が知っている美容師さんの中で、ヘアデザインに対して「正しい」「正しくない」という言い方をするのは、岡村さんだけかもしれない。
確かに、岡村さんのヘアデザインは、すべての髪があるべき場所にちゃんといる。正しい場所にいる髪は、とても気持ちよさそうです。
そして、デザインだけではなく、岡村さんはMINXのスタッフさんに「人として正しいことをしなさい」とよくお伝えされています。
岡村さんの口癖は「MINXを卒業しても、一生食べていける美容師に育てたい」で、そのために必要な要素のひとつが、「正しさ」なんだと思ってらっしゃるのかもしれない。(聞いたことはない)
正しいデザイン。そして正しいカット。 そして、人として間違ったことをしないこと。人に迷惑をかけないこと。正しい生活。
みんな知っているけど、あえて言うけど、岡村さんは、俳優さんバリにかっこいい。あと、体の3分の2が脚じゃないかというくらい、脚が長いです。加えて、カリスマ美容師だときたら、もうこれ天は何物をあたえるんですかね問題だと思う。
でも、岡村さんはあんなにかっこいいのに、1ミリもチャラっとしたところがない。全然浮わついてない。エロさがない。夜も弱い。気づくとみんなが盛り上がっている飲み会でうとうとしてる。
なんだか、すべてのエネルギーが、髪をデザインするところに集約されていて、それ以外はとてもコンパクトに省エネで生きているのかもしれないって思ったりもします。
そして、その次の日も正しいデザインが切られていく。
セミナーや取材でいろんな地方に行くと、MINX出身のスタッフさんにお目にかかることがよくあります。その誰もが、地域NO.1店を経営されていて、MINXを離れたあとにも活躍されています。みなさんとても気持ちのいい方ばかりです。
そんなMINX OBの方たちとお会いするたびに「MINXを離れたあとにも、一生生きていけるように」と言っていた岡村さんの言葉を思い出します。
昨月、岡村さんはMINXの代表取締役社長に就任されました。岡村さんのまっすぐで正しい美容のDNAが、これからも脈々と受け継がれていくのだと思います。
先日久しぶりにお会いしたとき、「最近どうですか?」と聞いたら「俺、最近ちょっと上手くなってきた気がする」とおっしゃっていました。
しびれました。
岡村さんのゴールはどこなんだろう。岡村さんはどこまでいくのだろうな。ヘアライターでいる限り、その先の先をずっと見ていたいなと思います。
そして、そんな代表に導かれる、これからのMINXも、とても楽しみです。
-Profile-
MINX代表 岡村享央氏
1969年生まれ
1991年MINX入社
サロンワークを中心に、一般誌・業界誌の撮影、セミナーやヘアショーなど
幅広い分野でのオファーが常に後を絶たない。
Japan Hairdressing Awardsで、1995年優秀新人賞、ならびに、2001年準グランプリを受賞。
全国のヘアサロンの多くが教科書として使用する、数々のカットの書籍やDVDを出版し、美容業界を牽引し業界に貢献し続け確かな技術と幅広いデザインで業界で高い評価を受けている。
精密で正確な カットから生まれるヘアはまさにハイクオリティ・ハイセンス。
職人技とも言える技術の高さに、彼に憧れる若者が後を絶たない。
2016年3月、MINXの代表取締役社長に就任。
文・佐藤友美
美容サイトの草分け的存在「サンドリヨン」の編集長を経て、雑誌、書籍での執筆を重ねる。15年間にわたってヘア専門のライターとして活動し、全国各地でセミナー、講演を行う。著書に「フォトシュートレッスン」(髪書房)「美容師が知っておきたい50の数字」「美容師が知っておきたい54の真実」(女性モード社)など
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