高木琢也さんに聞く! 消費の時代にOCEAN TOKYOが流行で終わらない理由を徹底検証。トップの最終結論編【連載企画Vol.4前編】
美容師の枠を超えた活動の目的は、スタッフのために突破口を開くことに他ならない
―高木さんは著名人のお客さまも多いですよね。
それに関しては、俺は突破口を開いているだけのつもりなんです。OCEAN TOKYOは一般のお客さまでいつもあふれているお店で、そこに存在意義があると俺は考えています。著名人が来店していることを看板にして集客をしているサロンはたくさんありますが、OCEAN TOKYOはそうではなくて、もともと一般のお客さまにたくさん来店していただいていたのをきっかけに著名人の方にも注目されるようになりました。
正直、どんなお客さまでもひと枠には変わりないので、著名人だからといって特別扱いはしないんです。俺もそこに重きは置いていません。だけど以前スタッフに、OCEAN TOKYOがどんなサロンであってほしいか聞く機会があったときに、「著名人が来ているサロンだと言いたい」という声があったんです。その気持ちもわかるので、著名人の担当もしていますが、いずれは俺ではなく他のスタッフに任せていきたいです。
何事もそうですが、俺は道筋を切り開いたり物事の突破口となるだけで、そのあとはスタッフに任せたい。彼ら自身が責任を持って良いと思うこと、やりたいことをやってほしいというスタンスです。
―突破口を開くといえば、昨年は、Yohji Yamamotoのメンズ・ウィメンズコレクションのバックステージでヘアメイクを担当されていますよね。高木さんのメインストリームではなくウィメンズに挑戦された時には苦悩されたというお話が印象的でした。若いスタッフの方に挑戦する姿を見せるためにも引き受けたと聞いています。
そうですね。俺は常に進化していないと怖いという強迫観念みたいなものもあるのですが、引き受けたのにはいくつか理由があって。もちろん、背中を見せたいというのも理由の一つです。
あとは、OCEAN TOKYOはメンズサロンなのでメンズのお客さまが多いのは当たり前なのですが、世間から「どうせ女性はできないんでしょ?」と思われるのがすっごく嫌なんです。実際そんなことないし、陽介やみなみ、さいしゅ(えり)などレディースが得意なスタイリストもちゃんといます。ただ、そのことを俺が大声で叫んでも、なかなか世間の人には刺さりません。
そこで、俺があのウィメンズのヘアメイクを引き受けることで、「女性もできるんだ」ということをわかりやすく示せるし、レディースをやりたいスタイリストにも機会がよりめぐってくるようになると考えました。
>>3月24日公開予定【後編】に続く
- プロフィール
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OCEAN TOKYO
代表/高木 琢也 (たかぎ たくや)
千葉県出身。早稲田美容専門学校卒業。都内1店舗を経て2013年9月にOCEAN TOKYOを立ち上げ、現在は原宿、渋谷、大阪など8店舗を展開。月間技術売上1200万円を達成、ホットペッパービューティーアワードベストスタイルメンズ部門三連覇をするなど業界でも注目を浴びる。2018年10月にNHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演後、本田圭佑に次ぐ二人目の二度目の出演者として2019年5月に再登場。現在は4度の出演を果たしている。2019年5月22日にはじめての著書「這いつくばった奴が生き残る時代道あけてもらっていーすか?」(宝島社刊)を上梓。カミカリスマアワード2022、2021、2020(主婦の友社)では、メンズカット部門で唯一の三つ星を3年連続で獲得した、業界の圧倒的カリスマ美容師。
(文/須川奈津江 撮影/菊池麻美)
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