”アルカリ酸熱”の開発者『nex』シダショウヘイが語る!「これからの髪質改善は本物しか残らない」【後編】
これからは、ごまかしのない本物の髪質改善が生き残る時代に
髪質改善が世の中に浸透し始めた2020年は、お客さまの目がまだ肥えていなかったですし、縮毛矯正をした髪でもアイロン仕上げやスタイリングで綺麗に見せたり、撮影のライティングやインスタのフィルター加工などでごまかしが効いた部分もあるのかなと思うんですね。実際にサロンの施術を受けてみた結果、仕上がりに満足できなかったお客さまが僕らのところに来るようになりました。髪質改善という言葉だけが一人歩きして、量産されてきたな、良くないなと思っていたんです。新規のお客さまに来店理由を聞くと、「インスタの施術前の髪が綺麗だった」とか、「無加工と書いてあったから」とか言われるわけです。”映え“の時代が終わって、髪を本当に綺麗にしたいと思っている時代がきたんだなと。だから、いい方向に向かっているなと思っています。
これからは本物だけが選ばれて残っていく時代ですよね。だからこそ失敗はできないですし、そのために努力し続けていかないと。もう後ろ姿の写真を見せる髪質改善は終わりに向かっていますし、お客さまも飽きてしまっているんですよね。これからは、しっかりデザインも勉強しないといけないので、そんなところも社内で落とし込んだりしています。
自分自身が本物志向でありたいと思うので、お客さまに嘘をつきたくないんです。自分が納得できる技術を自信を持って提供したいと思っています。もしお客さまからブリーチをオーダーされたら、「おすすめの美容師さんをご紹介しますね、僕はできないので」と正直に伝えて、ブリーチのプロフェッショナルをご紹介します。他にもこだわりとしては、薬剤は必ず自分で塗ります。バズった時に枠を増やさなかったのも、そのためです。最近は原料の高騰で料金を上げているところが多いですけど、僕はもともと高い料金設定なので、原料が下がったときに値下げしようと思っていて。世の中の流れと逆に動きたいな、と思っていたりもします(笑)。
今後の目標ですが、いつか地元に錦を飾りたいと思っているので、函館の出店は実現させたいですね。地元で6年前までくすぶっていた僕が、今こうして表参道のサロンから髪質改善を発信できているんですから、人生って面白いですよね。上京してから、アシスタント時代はどうしてもお金が足りなくて両親からお金を借りたこともありましたけど、最近は実家に帰ると僕がお鮨をご馳走する担当になっていて(笑)。毎月仕送りもできるくらいまで、自分の仕事が確立できました。これからもnexで同じ目的意識を持つ仲間たちと本物の美容を追求したい。そしていつか函館のお客さまに「アルカリ酸熱」を提供することができれば、と思っています。
シダ ショウヘイ/『CURE nex the salon』スタイリスト
1993年、北海道生まれ。函館理容美容専門学校を卒業後、地元の人気サロンに入社。3年後、デビュー直前のタイミングで上京。24歳で念願の『air』に入社し、歴代2番目のスピードデビューを果たす。1年後に副店長に抜擢され、髪質改善で売上440万を達成。27歳でフリーランスに転身し、ハイトーンにもできる「アルカリ酸熱トリートメント」を開発する。2022年11月、『CURE nex the salon』に参加。講師としても活躍中。
Instagram:@shida__tuya.st
(文/織田みゆき photo/松林真幸)
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