老いを超越して艶やかな輝きを手に入れる。最高齢96歳のファッションショー「Make Over Magic」開催



老いてもなお美しくありたいとは、誰しもが願うこと。しかし、街ゆく高齢者を見渡してみると、ほとんどの人が没個性的でくすんだ色の洋服に身を包んでいることに気づかされるのではないでしょうか。

年を重ねるとファッションへのチャレンジ精神も失いがち……そんな日本のシルバーエイジをファッションからエンゲージしていこうと、2013年から開催されているのが「MAKE OVER MAGIC」。“ぶっとんだ”メイクやヘア、ドレスで着飾った高齢者たちが音楽にあわせてランウェイを歩く、ファッションショーです。

 


 

絢爛豪華! 高齢者の型破りなファッションに拍手喝采

今年7月5日、コートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われた「MAKE OVER MAGIC」には、女性モデルは60代から90代まで20名、男性モデルも60代から70代まで4名が集結。会場に用意された300席が満員になり、立ち見の観覧客も出るほどの盛況ぶりでした。

特筆すべきは、なんといっても奇抜なファッション。レディー・ガガやきゃりーぱみゅぱみゅも顔負けの豪華絢爛なドレスを着て、堂々とランウェイを歩くオーバー60たちの凛々しい姿は圧巻です!

 

 

ショーは4つのテーマに分かれて構成。衣装は着る人の魅力を引き出せるよう、協賛ドレスメーカーから提供されたドレスをデザイナーが1着ずつ手作業で仕上げているそうです。

モデルとして参加した人のなかには、人の役に立ちたいと最近パートに募集した81歳、医療ソーシャルワーカーとして働き、リタイアしてからは俳句や書道に没頭している88歳、くも膜下出血で倒れ1カ月ほどして意識が回復、いまでは小走りもできるほどに回復した90歳など、人生のラストステージを力強く歩むモデルたち。

最高齢96歳の登場には会場から驚嘆の声があがる場面も。高齢者モデルたちの堂々とした姿は希望に溢れており、客席からも大きな声援と拍手が惜しみなく贈られました。

 

エネルギッシュでハッピーになるカラーのドレスで彩られた高齢者モデルたち(画像提供/MMJGrand 実行委員会)

エネルギッシュでハッピーになるカラーのドレスで彩られた高齢者モデルたち

 

MAKE OVER MAGIC」発案のきっかけは“日本人高齢者の暗さ”に抱いた違和感

“世界一高齢者の美しい国へ”をコンセプトにはじまった「MAKE OVER MAGIC」。創始者はニューヨークやヨーロッパ、シンガポールなど世界で活躍してきたヘアーアーティストの松尾俊二さん。なぜ高齢者が主人公のファッションショーをはじめようと思ったのか、そのきっかけについて次のように語ります。

「9年前、58歳のときに癌を患い、一時帰国しました。地元の神戸に戻って、ショッピングモールを歩いていたら、ふと高齢者たちのファッションが目についたんです。というのも、グレーっぽいというか、きれいな色を着ている人がいなかったから。海外生活が長い身からすると、欧米のマダムと明らかに色使いが違うことに気づきました」

この気づきがきっかけで、自分になにかできないかと考え、2013年3月
に自費を持ち出してNHK神戸放送局で「MAKE OVER MAGIC」を初開催したとか。

「自分も癌になったことで、将来に希望を持てなくなり落ち込んでいたときだったので、美容生活が長いことを活かして、高齢者を元気にすることはできないかと思ったんです。表面だけじゃなくて内面から明るくしたいと考えて、思いっきりハッピーで元気になれるファッションショーを手掛けようと決めました」

 

 

日本人は集団を意識するがゆえに、年を取ったらこういう服を着ないとダメという“決めつけ”に自分を当て込む傾向があるのではいかと松尾さんは言います。奇抜なデザインのドレスには、そうした固定観念を打ち破ってほしいという思いが込められているようです。

 

>カラフルでハッピーなドレスが高齢者に自信を与える

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