Lilyさん、どうして働けない高校生に教えているの?
いつの時代も大切なのは人間性
-目先のテクニックではなく、もっと根本的なことを教えたいということですね。
寺村さん:昔は雑誌に載るのが売れるための近道で、みんな雑誌に載ることばっかり考えていましたけど、僕はそのことを疑問に思っていました。「今はそんな時代じゃない、個人で情報発信する時代でしょ」と。それでブログやSNSで情報発信するスタイルをはじめたのですが、このやり方がずっと通用するとは思っていません。だからこそ、根っこにある「考え方」が大事なんです。
僕の周りには若くして活躍している知人も多いですが、話をしてみると考え方は意外とアナログです。たとえば、名刺を交換したらすぐに直筆で挨拶の手紙を書くとか。ご飯を一緒に食べたら、その日のうちにお礼の連絡を入れるとか。挨拶とか感謝の気持ちを強く持っている人たちです。そういう人としての魅力がある人が成功するのだと思います。
たった数回の面接で仲間を決められますか?
-寺村さんとたかふみくんの取り組みは、新しい風を起こすことになると思います。
寺村さん:今回は教育についてのインタビューですけど、教育以前に採用についても、もっとやり方があるんじゃないかなと思っています。
今って、何回かの面接を経て採用するケースがほとんどだと思いますが、面接ではいくらでもいい顔ができます。それよりも、SNSの発言を見ていたらその人の人柄もわかるし、今回のたかふみくんみたいに、フロアで一緒の時間を過ごしていたら、この先やっていけるかどうかもわかるじゃないですか。
インターンシップのような仕組みは、やる気のある美容学生にはすごくメリットがあると思います。学校が終わったあとの練習する場になるかもしれないし、入りたいサロンに自分を売り込むチャンスもある。そこで働きたいと思ったら、一生懸命やりますよね。なにより、ほかの子たちとはスタート地点が違います。
-新しい採用のカタチも模索しているということですね。これから仕掛けようと考えていることがほかにもあれば教えてください。
寺村さん:せっかく美容専門学校で知識や技術を学んでも、クリエイティブな仕事ができるのって何年も先じゃないですか。日本はアシスタントの期間が長すぎると思うんです。だから、学校を卒業したらすぐにスタイリストとして活躍できるような仕組みを、IT企業と連携して作っているところです。詳細についてはまだ企業秘密です。
-では時期がきたらぜひ教えてください。お二人ともありがとうございました!
- プロフィール
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美髪アドバイザー/寺村 優太(てらむら ゆうた)
群馬県出身。山野美容専門学校卒業。都内有名店を経てフリーランスとして活動後、Lilyの立ち上げに参加。持ち前の美髪の知見を生かし、365日ヘアケア情報をSNSやブログを通じて発信。また、セミナー講師として全国で活動している。主な著書に「美髪のルール」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
https://beauty-architect.com/lily/
- プロフィール
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高塩 貴史(たかしお たかふみ)
1999年生まれ都内の私立高校に通う3年生。美容師を目ざし、高校1年生からヘアメイクの活動、高校2年生からセミナー活動を行なう。
https://takafumi0515.wordpress.com
(取材・文/外山 武史 撮影/泉山美代子)