【韓国人美容師チェズ<後編>】カツラの概念が壊れる瞬間!それは本物か偽物か?超進化系カツラの制作現場に潜入、マイナス30歳若返るマジックで「もうハゲても大丈夫」

 

#2 トレンド感覚をカツラに反映。だからオーダーメイド

 

X:チェズさんのようにヘアトレンドに対して十分な理解がある美容師だからこそ、その感覚や視点がカツラ作りにも生かされるわけですね。だからオーダーメイドのカツラができるし、若い方からも求められるんでしょうね。

 

 

チェズ:実際、お客さまも、10代の中学生から、70代、80代との方までと幅広いです。購入までに至らないけど、一番相談が多いのは20代の男性です。あまりむやみに言ってはいけないのですが、、、今日は取材なのであえて自慢げに言わせていただきますと、今までのカツラ業界の課題というのは若い人を取り込めないことでした。カツラってバレると恥ずかしい。カツラは不自然というイメージが根付いている。でも弊社のカツラは、若い方でもこれなら使ってみたいと思っていただけています。だから他社のカツラからの乗り換えも多いですが、若い方のご新規様も非常に多いです。

 

 

ただ弊社の場合、基準を設けていまして、人を厳選しています。実際のところ、髪がフサフサなのに、「髪が抜けています」「死にたいです」と駆け込んでくる若い方も多いんです。そこで僕が商売をしているのなら「それ、やばいね」と相手の不安をあおって、明るいところで頭皮を見せながら「スカスカじゃん」と言えばいいだけ。髪に悩んでいる人に対して、カツラを売るのは簡単です。でもそうすることは、相手のためにならない。「カツラは最終手段としていつでも使える。それは約束できる。今はまだ髪があるので、向き合ってください」と伝えてお断りします。カツラって不便なものですし、地毛の方がよかったなと後悔しても、取り返しがつかない。若い頃に全部やってみて、それでもダメな時、最終手段としてカツラを使ってもらった方が、真の楽しさがわかるんです。今、本当にカツラが必要な方だけに使っていただきたいのです。カッコよく若返って、女遊びもしてほしいですよ。

 

 

X:若いお客さまからの薄毛の相談は、かなり深刻そうです。どんなふうに対応しているんですか?

 

両親や友達に相談できず、一人で悩みを抱えている人がほとんどですね。だからより深刻です。親からは「まだましな方だよ」と心無いこと言われますし、友達に相談したらハゲだと笑われる。他の人に相談できなかったけど、僕のようなプロから大丈夫と言われると安心するようです。ヘアカットや、パーマなどデザインで十分カバーできると判断した時は、一緒に美容師のインスタグラムを見て、「ここの美容師に相談したら」と相談にも応じます。カウンセリング料はいただきません。

 

 

カツラ制作を始めた当初は、オーダーが入ると嬉しかったので、来るもの拒まずバンバンやっていたんです。そうしたらトラブル続きで。自分で美容所を開いて法人でやって、代表を名乗ってカッコつけてやっているのに、実情はクレーム対応ばかり。考えてみたら、その頃の僕は人を見ていなかったんですよね。それからは、「その人の為になるかどうか」という判断基準を設けました。カツラを使うことでどれくらい楽しくなるか。どれくらい輝けるか。カツラを使うことで、生活がどこまで変わるか。お客さまとよく話をしていくと、いろいろわかるので判断できます。

 

 

僕から断られた方の立場としては、「なんだ、殿様商売が」と恨むはずです。でもカツラが売れた後は、長い付き合いになるので。恋人ができました、結婚できました、就職できました、とずっと関係性は続いていきますからね。過度な期待をされて、カツラを買ったものの、改善されなかったという場合は、違うところに問題があるかもしれない。そもそも髪の毛が問題ではなかったりもする。お客を選んでいると一部の方には思われるかもしれませんが、そのスタンスで、今、4000人近くのカツラを作っています。

 

 

>#3 一人で受注、制作、納品、営業、アフターケアも!

 

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