無茶振りは成長のチャンス! 計良宏文のクリエイションの原点
フィギュア風メイク、髪で天守閣をつくる…どんな依頼にも応えた
計良さんが手かげたさまざまな作品
髪に限らず、顔回りに関することはすべて自分の仕事だと思っています。仕事を依頼されたら、どんな内容でもやれる方法を考える、せっかく頼りにしてくれているのだから断りたくない。そんな想いで一つひとつの仕事と向き合っているうちに、どんどんオファーが増え、ネットワークも広がっていきました。
たとえば、秋葉原発のアイドル、でんぱ組.incのメンバーをモデルにしたMIKIOSAKABEのファッションショーでは、「等身大のフィギュアのように見せたい」と相談されました。フィギュアっぽく見えるためには、髪の毛に厚みが必要なので、発泡スチロールを削り、ヘアを張り付けてウィッグをつくったんです。それから何年か経った頃、「お城の天守閣を髪で作ってほしい」という依頼がきました。これまた無茶な依頼ですが「それができるのは計良しかいない」という話だったようです(笑)。愛知県のPRの仕事で、犬山城の天守閣を模したカツラをつくり、松平健さんにかぶっていただきました。
文楽人形のカシラをつくったこともあります。阿波人形浄瑠璃の伝統を未来に残すためにアーカイブ化するプロジェクトで、3Dプリンターで出力された人形のヘアメイクをしてくれる人を探しているという話がきて「やります!」と。3Dプリンターで作った人形は顔がのっぺりしすぎてメイクができないので、顔を掘るところから始めました。はたから見たら、もはや何の仕事をしている人なのかわからない状態だったと思います。けれど、僕はのこぎりやドリル、接着剤をつかってヘッドピースをつくることもあるし、プリズムシートを加工して光るヘッドピースをつくったこともあるし、頭周りに関する造形をつくるもの全てヘアメイクの仕事だと考えているんですよ。
>縛りがある中で遊ぶのは楽しいが、「テーマは自由」と言われると苦しい