代表が複数いるサロンって実際どうなの? 当事者だからわかる共同経営のリアル 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第12回Belle 飯田尚士さん×LONESS 片山良平さん
「雑誌の仕事はサロンワークにも通じるものがあると思う」(飯田)
飯田:話は変わるけど、相変わらず雑誌で片山くんを見かけるよ。
片山:飯田さんこそ。雑誌に載れるサロンって限られているじゃないですか。しかも、かわいいスタイルをつくり続けないと声が掛からなくなってしまう。プレッシャーはあります。
飯田:そうだね。特に一般紙は、雑誌の色や求めているものを読み取る力がないとね。自分が好きなもの、得意なものをSNSで発信するのとは全然違う。これってサロンワークにも通じる話ではあるけれど、何を求められているのか感じ取れる人が残っていくんだろうね。
片山:雑誌の仕事をはじめたきっかけってなんだったんですか。
飯田:そもそも僕は雑誌の仕事をしたいと思って前のサロンに入ったから。
片山:コネクションないと難しいですもんね。
飯田:サロン選びにおいて、やりたい仕事ができる環境なのかはすごく大事だと思う。家の近所のサロンに入って雑誌やりたいと思っても、ほぼ無理なので。
片山:雑誌は空気を読んだり、求められているものに応える必要があるけれど、それと比べると業界誌は色が出しやすいですよね。
飯田:そう。好きにつくれるよね。でも僕の場合は、お客さんに提案できないものは業界誌でもしないというのは決めてる。クリエイティブとリアルの線上を狙っているというか。なんで、やっぱり、業界誌であっても、ちゃんとお客さんに提案できるスタイルにこだわってやってるんだよね。
片山:飯田さんが新しいスタイルをつくり続けられるのはどうしてですか。
飯田:どうなんだろうな。プライドがないのがいいのかも。僕は先輩とか後輩とか関係なく、下の子にも「それどうやってつくっているの?」とか聞くし。平気で真似もするし。きっと、頭が固くなるとダメなんだよ。あとは、細かいことの積み重ねだよね。たとえば、ストレートヘアにもいろいろあって、パッと見て目に留まる派手なストレートってあるんだよ。そういうのを一時期ずっと研究してて。それが今も生きているんだと思う。
片山:研究ってどんな感じでやるんですか。
飯田:雑誌は2Dでしょ。平面なんだけれど、一本毛を浮かせるだけで、立体感や奥行きを出せる。そういうのを心がけてから自分の作品が変わったと思う。片山くんは何をデザインソースにしてるの?
片山:僕はとにかくインプットを大切にしていて、月1回は必ずTSUTAYAで全ジャンルの雑誌、洋画などを半日くらいずっと閲覧しているんですよ。で、かわいいと思ったデザインを自分の中にためておく。そうすると、デザインするときに生きてくるんですよね。ジャンルが偏るといけないから、あえて幅広くインプットすることを意識しています。もちろん、Instagramも見たりしますが、紙で見たほうが質感がうまく伝わるというか。なんだかんだ言って雑誌が好きっていうのもあると思いますけれど。
QJ編集部:盛り上がっているところスミマセン! そろそろ終わりのお時間でーす!
飯田:まだまだ話し足りないね。このあと時間ある? 飲みに行こうよ。
片山:いいですね、ぜひ!
- プロフィール
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Belle/オーナー
飯田尚士(いいだ たかし)さん
1978年生まれ。2010年に堀之内大介氏とともにBelleを立ち上げる。2013年には、2店舗目の原宿店をオープン。2015年7月には、銀座並木通り店をオープンし、さらに同年「♦at’LAV♦」と合併し、「♦at’LAV♦by Belle」をスタート。2017年6月には吉祥寺店、2018年にはBelle Ginza 銀座5丁目店を展開。外国人のような柔らかい質感のスタイルが得意で、モデル・タレントの顧客も多数。
http://belle-omotesando.jp/
- プロフィール
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LONESS/オーナー
片山 良平(かたやま りょうへい)さん
名古屋美容専門学校を卒業後、渡英、帰国後に表参道有名店でクリエイティブディレクターを経て、2016年に本田治彦とともに独立。
「今までの日常をブラッシュアップさせる」をテーマに、技術だけでなく空間にもこだわったコンセプトサロン『LONESS』を表参道にオープンさせる。2019年には2店舗目となる『LONESS ginza』をオープン。
サロンワークを中心に一般誌、業界誌の撮影、芸能関係のヘアデザイン等で幅広く活躍している。
http://lONESS.jp/
(取材・文/外山武史 撮影/菊池 麻美)