代表が複数いるサロンって実際どうなの? 当事者だからわかる共同経営のリアル 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第12回Belle 飯田尚士さん×LONESS 片山良平さん
「僕の目は節穴だから採用はみんなに任せてる」(飯田)
片山:採用はどうやってするんですか。
飯田:スタッフのみんなに任せてる。僕の目は節穴だから(笑)。もちろん面接はするけど、入社希望の人は、全店回ってもらって、全スタッフに見てもらって、みんなの意見をまとめて採用するかどうか決めている。
片山:え! 1日で全店回るんですか!
飯田:そう。1時間とか2時間で回るから大変。でも、美容師って結局、第一印象がすごく大事だから。短い時間でもサロンに合うかどうかはわかるものなんだよね。
片山:技術は見ないですか?
飯田:技術チェックはない。技術は後から絶対についてくるものだから気にしない。
片山:徹底していますね。
飯田:自分たちの目が節穴だっていうのを認めてるからね。僕らが決めていた頃は結構、辞めてしまう子がいたよ。
片山:採用は大事だけど、あえて任せることが大事だっていうのは僕も感じています。
飯田:みんな情報を集めるのが上手いから。入社希望の子のインスタをすぐ調べたりしてくれるんだよね。片山くんのところはどうなの?
片山:ウチも面接は基本は、全員でやっています。最初から最後まで全員で見たり、場所を変えてやってみたり、毎回試行錯誤しているところです。
飯田:やっぱりみんなで見たほうがいいよね。
片山:全員で見ることによって、「自分で採用した」という気持ちが芽生えるし、「しっかり育てよう」と考えてくれると思うんですよね。そんな期待を込めています。
「2店舗ならいいけど3店舗、4店舗になったらどうなるか…」(片山)
片山:ウチはまだ2店舗だから二人で、ローテーションで見れるんですが、3店舗、4店舗と増えていったら、全部いくのは難しいじゃないですか。どうやって見ているんですか。
飯田:堀之内が担当なので、全店舗回るんですよ。それで、スタッフの意見を吸い上げて、僕に教えてくれる。それをもとに方向性を決めたりしているよ。
片山:全店回るってすごいですね。
飯田:ただし、これってサロン全体の売上に対して、自分たちの売上の比率が小さくなったからできることだよね。自分たちの売上がメインだったころは、自分の売上が減ったら経営が苦しくなるから、サロンワークを減らして店舗を回るなんてできなかったと思う。
片山:確かにそうですね。今ちょうど人数が増えて、組織を統一するのが難しくなっていくんだろうなっていうのを感じているところです。店舗が2つになって、スタッフも二手に分かれていますし。これが3店舗、4店舗と増えていくと、違うやり方を考えないといけないですね。
飯田:そうだよね。今、全員で何人いるの?
片山:今、23ですね。4月から5人新しい人が入ってきます。Belleは?
飯田:70ぐらいかな。4月にまた新しい人が入るからちょっと増える。
片山:すごい。順調に成長しているように思えるんですが、ピンチはなかったんですか?
飯田:ピンチだと思っていたけど、ピンチじゃなかったことならあった。店長2人が同時に独立して、売上が減るかなと心配していたんだけど、結果的に売上は上がったんだよね。だから、人を育てて、気持ち良く送り出して、下の子が伸びてくれば、心配しなくても数字はついてくると今は思ってる。
片山:人が育っていれば、乗り越えられるものなんですね。
飯田:きっと、下の子が店長のポジションを狙ってたんだよ。
片山:それ、大事なことですね。
飯田:ウチが大きい店舗をつくらないのは、任せられる人材を増やしたいからなんだよね。店舗が大きいと店長の上にディレクターがいたりするじゃない。責任者が多いと「これ、誰が決めるの?」ってことが起こりやすい。だから「全部任せるから」って伝えて、1店舗まるっと任せることで、成長してほしいんだよね。せっかく店長になっても、ディレクターの意見を聞かなきゃいけないとかだと、やりにくいじゃない。
片山:確かに嫌ですね。
飯田:嫌だよね。「店長なのに俺、全然任せられてないじゃん!」みたいになっちゃうと思う。
>「雑誌の仕事はサロンワークにも通じるものがあると思う」(飯田)