「沢丸 保切」は世界のコンテストでなぜ評価されるのか? クリエイション未経験から今に至るまでの道のりを聞いた
クリエイションをする上で大事なのは「継続力」と「環境」
これを読んでくださっている美容師さんに僕からアドバイスするなんておこがましいですが、まず伝えたいのは継続することが大事だということです。
我慢して続けるというよりは、自然の流れに身を任せるようなかたちで進められるのが理想。僕もクリエイションを始めたばかりのころは、自分の出来なさに落胆してばかりでした。毎回、改善点が見つかります。でもそれが当たり前なんです。
想像と現実のギャップを埋める作業を楽しめるかどうかがポイントで、生みの苦しみを心地のよい刺激と感じられるのであれば、どんどん上達していくと思います。一方で、ストレスを感じて仕方がないのであれば、心の健康に悪いですし、サロンワークにも悪影響が出る恐れもあります。だから産みの苦しみをポジティブに捉えられるかどうかが一つの分岐点です。
もう一つ大事なのは、環境です。営業時間が長く、休日も少ないようではクリエイションするための時間をつくることができません。ウチのサロンでは、クリエイションに限らず家事や育児、習い事などのために早上がりができる仕組みがありますし、休暇もとりやすいようにしています。
僕がクリエイションの準備をしているときに「店長、営業中に何をしているんですか?」と突っ込まれるのは嫌ですし(笑)。スタッフのみんなにもやりたいことにトライして人生を豊かにして、お客さまに還元してほしいと思っています。
美容に携わる者として、美しいと感じる心の余裕が必要ですし、クリエイションは心に余裕がないとできないこと。だから、本人の努力はもちろん欠かせませんが、理解のあるサロンオーナーさんが増えることも大事だと思います。
- プロフィール
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jyume
オーナー
沢丸保切 (サワマル ポキル)
埼玉県生まれ、東京育ち。高校2年生の夏から美容師見習いをスタート。店舗規模や営業形態が異なる美容室で経験を積み30歳で独立。「jiyume」を立ち上げる。現在、美容室2店舗、撮影スタジオ、デザイン会社を経営。世界のビューティーアワード、フォトアワードで評価されており、International Beauty Industry Awards(IBI)2022では世界1位に輝いた。
(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)
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