個人投資家がサロンオーナーに! 美容室って儲かりまっか?
個人経営の中価格サロンは経営が厳しくなるのでは?
-投資家であることが、美容室経営をする上でメリットになっていることはありますか?
リスクとリターンの計算ができるのは強いと思います。例えば2店舗目を開くときにも、リスクを考えてこのタイミングがいいとか、このあたりの場所がいいというのを統計的に考えられるのは大きいですよね。また、投資家としての人脈が助けになることも多いです。僕はよく交流会を開いているのですが、交流会にいらっしゃる方というのは、個人投資家や企業の社長さんなので、いろんなパイプをお持ちなんです。そういう方々のつながりで好機を掴むこともある。
-美容室経営が投資家としての自分に与えるメリットとは?
美容室に卸している商品を扱う企業の中で、好調な会社を把握できることですね。今、この会社は勢いがあるなとか分かる。株を買ったり、次のビジネス展開を考えられたりするきっかけになったりします。
-きちんと二つの職業を連結させて、発展させていっているんですね。投資家として、美容業界の今後をどのように見ていますか?
美容室は増え続けていますが、日本は少子高齢化社会なので、利用者の年齢層は確実に上がっていきます。高価格サロンはブランド力があるのでお客さまは増えも減りもしないでしょう。低価格サロンはデフレ時代の割にはまだ少ないということもあって競争力があると思います。問題は、一番数が多いと言われている個人経営の中価格サロンです。現実問題、給与面でもスタッフ強化の面でも求人が難しくなっていくでしょうし、経済的な面でも個人経営をしているオーナーさんは苦労も多くなると思いますね。
-低価格サロンは、今後増えていくと思いますか?
増えますね。絶対。だからこそ、僕たちもうかうかしてられないんです。ほかの店舗とはっきりした差別化を図り、お客さまにもスタッフにも満足できる店を作らないといけないと思っています。とはいえ僕自身が低価格サロンの経営を他の方に勧めるかというと、ちょっと難しいですね。リスクが大きいんですよ。スタッフへの還元率など経済的なハードルも高いですから。そのあたりをクリアできる人であれば、勝算があるビジネスです。
-では最後の質問になります。ズバリ、儲かっていますか?
あはは。先ほど申し上げましたように、僕の懐に入るお金は少ないですが、お店としては潤っています(笑)。
- プロフィール
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山下 拓馬(やました たくま)
石川県出身。名古屋の大学を卒業後、大阪の証券会社に就職。2年後、ディーラー部署に配属となり、株の取引をはじめる。2012年に退職し、個人投資家に。2015年6月、マネージャーの美容師・中本一龍氏と、大阪市天神橋筋六丁目にサロン「CIEL」を開く。2016年6月には2店舗目となる難波店をオープン。
http://ameblo.jp/ciel-hair-make/
(取材・文/酒井美絵子 写真提供/山下 拓馬)