個人投資家がサロンオーナーに！ 美容室って儲かりまっか？
自分の利益は少なくてもいい。儲けた分はスタッフにお金の還元を
－起業を決めてから、1店舗目のオープンまではどのくらいの時間がかかりましたか？
約1年です。テナント探しには苦労しました。先ほどお話したように、低価格サロンは、回転率をよくすることで利益を上げます。そうなると人がたくさんくるような栄えた場所にお店がないとダメなんです。でも、そういう場所にはすでに美容室がたくさんある。また、席数の確保をするためには、ある程度の広さのあるテナントでないと無理なんですよね。最低でも8面は欲しいとなると、30坪以上は必要です。1店舗目を天神橋筋六丁目駅（大阪市北区）周辺にしたのは、美容室の数が64店（当時）と多いにもかかわらず、ほとんどの店が値段の差別化をしていなかったからです。大阪の中心地なのでカットの定価が3,500円から4,500円ほどと単価が高い店が多く、低価格サロンはありませんでした。僕たちは、カットは1,900円、カット＋カラーでも3900円。これならお客さまを取り込むことができる！ と思いました。
－その思惑が見事に当たり、オープン早々人気店となりました。他にも人気店となった理由はあると思いますか？
優秀なスタッフを取り込めたのは大きいですね。起業にあたり、周りの美容師さんたちに、美容界の“リアル”をリサーチしました。そのときに出た一番大きな不満が「給料」、2番目が「拘束時間の長さ」。美容室の中には入社前に「60％バックする」と約束しておきながら実際は違っていた、なんてお店もあるそうです。だから、僕たちのサロンでは、指名なしのお客さまに関しては40％バック、指名は60％バックと明確に決めました。
今2店舗で24名のスタイリストがいます。天六店は2年目ですが、離職者はゼロ。難波店では入って4か月目の美容師の給与が65万円だったり。やはり、働く上でお給料はモチベーションを保つのに一番有効だと思います。その次に働く環境面。その点で今のところ不満は出ていないというのが僕たちの強みだと思います。
スタッフらと山下さん（左端）
－スタッフのお給料を上げると経営が圧迫しませんか？
普通はオーナーが投資分を早く回収しようと思ってがっつり持っていくんです。そのために、スタッフへの還元率が悪くなる。僕はそれではいけないと思っています。店にとってスタッフは宝。優秀なスタッフにいてもらうことが強い店を作ると信じているので、スタッフが満足して働ける環境を作りたい。だから売上、固定費、人件費を計算し、残ったお金をスタッフに還元するんです。代わりに僕自身の利益は、正直言って少ない。このやり方は複数店舗展開、つまりオーナーが利益を1店舗から少なくもらう分、何店舗も経営することで取り分を増やすことが不可欠なんです。
