個人投資家がサロンオーナーに! 美容室って儲かりまっか?
大阪で個人投資家として活躍する山下拓馬(やましたたくま)さんには美容室「CIEL」のオーナーというもう一つの顔があります。個人投資家がなぜ美容室のオーナーに? 金融と美容という二つの業界で飛躍中の山下さんに、個人投資家から見た美容室経営の魅力を語っていただきました。
美容業界は新規参入者にもビジネスチャンスあり!?
-個人投資家で美容室のオーナーという、異色の経歴をお持ちの山下さん。なぜ美容室を始めようと思ったのでしょうか。
個人投資家となったときから、株式投資だけで生計を立てていこうとは考えていませんでした。はじめは「美容室を経営する」というよりも、「ホットなビジネスはないか?」と考えていて、街を見渡すと、美容室がたくさんあるじゃないですか。調べてみると、日本にはコンビニの4.4倍の美容室があると分かりました。完全にオーバーストアなのにもかかわらず、出店の勢いは止まらない。ということは、美容業界にはまだビジネスチャンスが眠っている。隙間をつけばチャンスがあるのではないかと考えたのが始まりです。
会社員をしていたときからずっと、美容師の中本(※)に髪をカットしてもらっていたんです。切ってもらっている間、「美容室の経営ってどう?」といろんな話をよくしていましたね。あるとき、日本で“低価格サロン”が流行っていると聞いて、実際に足を運んでみたら本当に繁盛していて。これはイケるんじゃないかと思ったんです。
※中本一龍さん:山下さんが代表を務める「CIEL」の管理・マネージャーを担当している。
-業界研究をされた、ということですね。
一般的な価格設定の美容室ではカットは4,000円くらいなのですが、低価格サロンは2,000円台。「どんな仕組みなんだ?」「これだけ流行っているのに、なぜ大手チェーン店しかやっていないんだ?」と興味が沸いたんです。
いろいろ研究する中で、わかったのは、個人にはハードルが高いということでした。単価を安くするためには、回転をさせることで利益を上げないといけないんです。席数もスタッフも多くないと回らない。低価格サロンは新規客が要なので、広告費や求人募集にかかる費用なども含めると、初期投資が1,500万円を超えます。これは普通の美容室の開業の2倍近く。個人が最初、銀行から借りられる貸付限度はだいたい1,000万円なので、参入できる人が限られていたんです。低価格サロンが少ない理由はここにあったんです。僕は株で出した利益で資金を準備することができますし、スタッフの給与面を大幅にアップが出来れば強いサロンになり、大手にはない全く新しい考え方を導入することで勝ち目があるのではないかと思い、「イケる!」と起業に乗り出しました。