労働条件だけで職場を選ぶ「薄っぺらい美容師」を増やしたくない
ロンドンでの修行を経て、22歳という若さで原宿にデザインサロンGARTE(元GRADUATE)を立ち上げたATSUTOSHIさん。これからの美容業界を創造する新世代経営者が感じている美容業界への危惧をテーマにお話を聞きました。給与や休日だけで働くサロンを選んでいる美容師さん、または福利厚生で求人をしようとしているけれどもなかなか上手くいかない経営者さんに読んでいただきたいインタビューです。
休日や給与で仕事を選ぶなら、美容師を選んじゃいけない
美容師向けの求人広告を見たり、就活フェアを見たりして思うのは、休日の多さや給与面など、福利厚生を打ち出しているサロンが多いことです。これはつまり、サロンを選ぶときに福利厚生を基準に選んでいる美容学生がいるからだと思うんですが、そもそもサロンを福利厚生で選ぶ美容学生を本当に採用したいのでしょうか。
休日や給料でサロンを選ぶ人は、いい条件のサロンが見つかればすぐにやめてしまいます。条件で選んでいるわけだから、もっといい条件のサロンが見つかれば当然です。だから、福利厚生ばかり推すことには違和感を抱くし、アピールすべきはそこだけじゃないでしょって思うんですよね。
アルバイトを探すのなら、条件で選ぶのもわかります。職場は牛丼屋さんでもハンバーガーショップでも、条件さえよければどっちでもいいんですよ。僕はこれに似た状況が、美容業界で起こっているんじゃないでしょうか。そんな状態で、20年も30年も美容師を続けられる人材が育つのか、疑問しかありません。
もちろん、美容学生の側にも問題はあると思います。そもそも給与や休日を求めているなら、美容師という職業を選んだことが間違っているかもしれない。GoogleやAppleなどの外資系のほうが絶対に給与も休日も充実していると思いますよ。日本の一般企業にも、福利厚生が充実している会社はたくさんある。労働条件で選ぶなら、そっちに行ったらいいんですよ。でも、美容師を選んだのは、他の職業にはない魅力を感じたからだと思うんですよね。そのことを思い出してほしいんです。
>未熟なままフリーランスになり、20年、30年と続けられるのか