フリーランス美容師はホントの自由を手に入れられるか?

フリーランス美容師はどんな夢を見るか

 

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ビジネスや経営の視点からのみ見ると、業務委託を含む美容師のフリーランス化が進んでいくことに疑いはなさそうに見えます。だけどアメリカとの最も大きな違いは、日本人のヘアスタイルへの要求の高さ、そしてそれに応えてきた美容師の高いクオリティ。

 

冒頭の美容師は以下のように語ります。

 

「今後、面貸を選択する人は増えると思いますよ。ただそれに伴って、ウチの店にもデビューしたてで、流れてくる子がいるんですが、正直技術はまだまだ。

そういう人が増えてしまうと、危ないんじゃないでしょうか。金額なりのクオリティしかないって話になってしまうので」(30歳男性 業務委託・面貸サロン勤務)

 

新卒の採用、そして教育と人材育成をし、さらに社会保険などを整備している美容室は、どうしてもその部分にコストをかける必要があります。それに対し、業務委託や面貸に絞っている美容室の歩合は必然的に高く設定できます。

 

それゆえに、個々の美容師の歩合だけを考えれば、業務委託サロンや面貸サロンの移籍は理にかなっているようにも思える(保険料や年金など社会保障は自己負担が必要)が、それが人材育成をし、業界のクオリティを下支えしているサロンにとって大きな痛手であるのも事実。

 

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また、現在フリーランスとして働く美容師も、皆が一生フリーランスを続けようと思っているわけではない様子。

 

「子育てしながらとか、そういう人を除けば、一生フリーランスでっていう人はそこまで多くないんじゃないですかね? 今の年齢なら稼ごうと思えばかなり稼げますけど、やっぱり年をとったときの体力的な問題もありますから。

先のことを考えると、お店を構えて、店舗数増やしてっていう方がビジネスを大きくできるので」(同上)

 

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客観的に他の職業と比較して、美容師には仕事に夢を重ねる人が多いように思います。類まれなバイタリティによって、彼らの夢が実を結んだ結果、コンビニエンスストアよりも、美容室の方が多いという、他の職種では考えられないほどの大きなマーケットと大競争時代が生まれました。

 

“美容師は夢を叶える才能を持った特殊な人種”。

 

そう考えると、フリーランス美容師の今後は、フリーランスという器の上に、今の若い世代がどんな夢を重ねるのかにかかっているのかもしれません。

 

今、若手でも自らの創意工夫でセルフブランディングをする美容師が少しずつ現れ始めています。そんな彼らがまた次世代の夢となることで、美容師の可能性は広がっていくのでしょう。

 

一口にフリーランスといっても、その中身は人やサロンによってさまざま。同じく正規雇用をしている美容室も、ひとつとして同じサロンはありません。“自由” や“夢”を掴むために、多くの選択肢の中から、どうか最良の判断をして欲しい。

 

(取材・文/QJナビ編集部)

 

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