フリーランス美容師はホントの自由を手に入れられるか?
美容師のフリーランス化に追い風
美容師が店舗で雇われることの大きなメリットは、施術以外のさまざまことを店舗が代わりにやってくれること。それは集客に始まって、予約を受け付けて、アシスタントを採用してくれて、備品を揃えてくれて、経理をやってくれて。店を借りて、家賃を払ってくれる。
普通はひとりではとてもお金も時間も足りないことばかり。ただ今はちょっと風向きが変わったようです。その一番の理由はさまざまな安価だったり無料のITサービスが出現したこと。
フリーランスに限った話ではないですが、ブランディングやプロモーションは美容師個人のSNSに大きく依存するようになりました。
例えばYoutubeだったりinstagramだったり、それらのツールでスタイルを投稿していくことで、自分が食べていくだけのお客さんを集めるというのはもう夢物語ではありません。
SNSでの投稿用に作品撮りをしたかったらサロモハントサービスの『coupe』を使ってみる。予約受付はLINE@を使ったり、備品はちょっとしたものなら『amazon』で翌日には届く。そもそもカットできる場所を探したかったら美容師と面貸スペースのマッチングサービス『MIRRENTA』で。
ヘアメイク・美容師、ネイリストなどのフリーの美容関係者と顧客のマッチングサービス『summon.jp』を今秋に開始予定の株式会社MOSO mafia代表・渡辺大介氏は、サービスを開始するきっかけについて以下のように語ります。
「アメリカではフリーの美容関係者と顧客のマッチング系サービスは2014年ぐらいから出てきています。一番の大手は『GLAMSQUAD』という元giltの創業者が始めたサービスで、NYのファッションセレブを中心に広がっています。
元々アメリカではフリーランスの比率が高く、それがマッチング系サービスによって加速しているイメージですね。
フリーランス比率が高まっていくのは日本でも同じだと思っています。日本では顧客側が慣れるのに時間がかかるかもしれないですが、いずれ個人の美容師が自分でブランディングをして集客をするというケースも増えてくると思っているので、そこに特化したサービスを作ろうと『summon.jp』を始めることにしました」(渡辺氏)
同氏がここで語るのは集客も自分でするフリーランス美容師のこと。予約受付や売上管理、オンライン決済まで出来るという『summon.jp』は本来店舗を運営する上で必要だったさまざまな雑事を引き受けてくれる可能性があります。
アメリカでは一般顧客がヘアメイクを利用するカルチャーが一部のセレブの間で根付いており、『GLAMSQUAD』では出張型ヘアメイクの需要も多いそう。日本でもヘアアレンジ動画がSNS上で人気を集めている現状を鑑みると、今後日本でそういったマーケットが拡大する可能性もあるでしょう。
「すでに日本でもブランディングの主体はお店から個人にシフトして行っています。その流れが続いていけば、経営の主体がお店から個人になってもおかしくはないと思います」(同上)