ショート・ボブ専門美容師&YouTuberの大野道寛さんが 木村直人さん田中亜彌さんと立ち上げた「devoted」で描く未来
2021年6月に、ショート・ボブ専門美容師&YouTuberの大野道寛さんと、美容師インフルエンサーの先駆け木村直人さん、そしてフリーランスで活躍していた田中亜彌さんの3名が表参道で「devoted(ディブーティッド)」という新ブランドを立ち上げました。ショート・ボブ専門美容師&YouTuberとしてまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの大野さんが、そのポジションに安住しないのはどうしてなのか。30代以上の美容師さんにぜひ読んでいただきたいインタビューです。
フリーランス美容師としての自分は「今がピーク」
一緒にdevotedを立ち上げた木村直人さんと田中亜彌さんとはお互いに存在を認識しているけれど、一緒に働いたことはないという関係性です。ただし共通点はあって、木村さん主催のオンラインサロンには僕も田中さんも参加していました。
そのサロン内のやりとりで「出店してみたいな。大野さんとかどうかな」みたいなことを木村さんが発信されていたんですよ。「一介のフリーランス美容師をつかまえて何を言っているんだろう…?」と思いつつ、何かを期待する自分もいたんですよね。それが3、4年前の話。
僕はLilyでショート・ボブ専門美容師を打ち出し、YouTubeも始めたおかげで、多くのお客さまに支持してもらえるようになりました。マンツーマンで技術売上 月300万円を売り上げるという自分の中での金字塔を打ち立てた反面で、「これ以上は現実的に無理」と感じたんですよね。
年齢は今35歳。これから確実に肉体はピークアウトしていく。昔より疲れが残りやすくなっているし、フリーランスの天井が迫っていることを痛感していました。
YouTubeチャンネルはおかげさまで好評ですが、YouTubeのルールが変わって突然、収益が下がることもありうる。こちらも決して安泰ではないんです。
また昨年、結婚をしたことで新しい責任も生まれました。無茶して体を壊したら家族にも迷惑がかかります。自分だけではなく、家族も幸せにする生き方を模索しなくてはいけないと考え始めたタイミングで、再び木村さんから声をかけていただいたんです。
木村さん、田中さんと共同代表で「devoted」を展開
今、木村さんは美容師を休養中なんです。なのでプロデュース的な立ち位置で、同じように木村さんから声がかかった田中亜彌(たなかあみ)さんと僕がフロアに立ちます。僕も田中さんも代表という立場で、共闘するチームのような感じですね。木村さんが僕たちに声をかけてくれた理由は新しいことに挑戦する姿勢や柔軟性、そして年齢が離れすぎていなかったからとのこと。トップダウンでやることは木村さんも望んでいないので、お互い能力を認め合って、謙虚にかつ物おじせずに一緒に進んでいけるチームだと思います。
ブランド名の「devoted」は一途という意味です。これは木村さんの発案で決まりました。3人の気質が真っ直ぐで一途だから、だそうです。「一途でありたい」というのは、3人の共通したメッセージだと思います。
サロン名ではなく「ブランド」としているのは、美容室という枠組みに留まらず、自由に発想したいからです。サロン出店のテーマも「美容師という職業が衰退していったときに、美容師の先にあるものを創るための出店」なんですよ。
オープンした場所は表参道駅近くサロンモールの「the salons」です。これまで一度も一緒に働いたことのないメンツが集まっていますから、オープン後に何が起こるかわかりません。だから、大きな初期投資をして店舗を出すのはリスクが高い。なので、サロンモールのレンタルからスタートしました。
オープンしてから2週間ほど(取材時点)しか経っていませんが、諸々の数字を見て木村さんが「うん、これなら大丈夫だね」と言っていましたし、順調な滑り出しと言えそうです。