「美容師力を全方位から試された」。2017 年優勝者・齋藤純也さんが語る、異色のコンテスト「SMAJ」への挑戦で美容師が得られるもの
トレンドを提案する側の美容師になるために
-予選から決勝まで、ヘアスタイルではどのようなことを意識してつくりましたか?
リアルトレンドと言いましたが、実は予選で少し挑戦をしたんです。予選はテーマが3つあり、80年代とアンバランスと、ハッピーだったのですが、ハッピーの作品で顔に花をつけた作品を出してみました。トレンド感がありながらリアルから一歩抜けて、美容師的な部分をとがらせてみようと。結果、自分でも驚いたのですが、その作品がモデルさんのインスタで過去最高のいいね数をいただきました。
美容師のクリエイションというと、一般の方には伝わらないイメージがあったのですが、自分のインスピレーションを形にしたものが、「すごいけど不思議だね」じゃなくて、「すごいけど可愛いね」という評価になったことが、僕にとってすごく自信になりました。準決勝や決勝でも、普通っぽくて、一般のお客さまが好きそうなんだけれど、どこか攻めているヘアをねらってつくりました。
-トレンドを発信する側の美容師を目指すうえでも、攻めの姿勢も必要だと思いますか?
そう思います。新しいトレンドは攻めの姿勢から生まれると思うからです。目指すところとしては、トレンド直球のキャッチーなヘアもつくりつつ、おしゃれなヘアや攻めているヘアも提案できる美容師像。
少し話がズレるかもしれませんが、今って雑誌で売れている美容師と、SNSで人気の美容師と、実際にお客さま数が多い美容師が違っていたりしますよね。できることならこの3つの垣根を越えて、すべてを手に入れたいんです。
僕の場合、その中でも雑誌で売れたい願望が強いのに、実はそれが一番足りていなくって。トレンドの発信は今でもやっぱり雑誌が担っていると思うので、そこで活躍するためにも、普通に見えてどこか攻めた提案という部分を今後もっと磨いていきたいと考えています。
-活躍の場を手に入れるために、今取り組んでいることはありますか?
「SMAJ」への挑戦もそのひとつでした。うちは先輩もたくさんいるので、道を切り拓くには自力で目立たないとという思いがありました。あとサロンワークでは、ありがたいことにお客さまの中に雑誌の専属モデルをしている方が何人かいるので、彼女たちのヘアスタイルを通して世間にアピールして行くという気持ちで毎回施術させていただいています。
雑誌の撮影依頼がそう多くなくても、モデルの子に提案したヘアからトレンドを生み出せることもあるんじゃないかって。その子たちのファンに可愛いと感じてもらえたら、トレンドにならざるをえないですよね。じわじわとですが、そんな取り組みもしています。