【apish坂巻哲也さん追悼企画】創業から26年、共に歩んだ3人が語る「美容の父が教えてくれたこと」

 

坂巻辞書には『妥協』の文字はなかった!

 

編集部:ヘアショーが盛んに行われていた当時、apishのステージも桁違いの演出でしたよね。ラストの坂巻さんのトークに涙する、心酔する観客もいました。そんなステージを支えていたのが、スタッフの皆さんですよね。


 

ひぐち:そうです(笑)。ステージの衣装も手作りなんです。市販の商品に、こだわりの強い坂巻が気に入るものなどないわけですよ。だから自分たちが作るしかなくて、私たち3人もチクチク縫っていた時代がありました。

 

宮下:若いスタッフとしては、その強いこだわりについていくのが正直大変です。撮影が始まると、いつも深夜をまわる長丁場なんです。いいものを作りたいという思いがあるから、簡単には終わらないんですよ。

 

ひぐち:経験の浅いカメラマンさんなんか、求められるものをうまく表現できなくて泣きながら撮影してたよね。

 

 

佐藤:そんなこともありましたね…。

 

宮下:でも、坂巻はあきらめずに時間をかけて取り組むから、結果的にすごくいい絵になるんです。こんなにいいものできるんだ!?と、衝撃でした。妥協したらいけないんだと、その繰り返しで学びましたから。サロンワークも同じです。毎日何十人と施術していて、しんどいな…という瞬間がありますよね。そんなときも、坂巻は気に入らない仕上げだと必ず水で濡らして直していて。すべてのお客さまに、そうするんですよ。サロンワークはここまでやらないといけないんだと教えられましたね。

 

ひぐち:本当に妥協のない人で、こだわり派でした。気に入らなかったら、巻いてあったロットも全部外してたよね(笑)。

 

編集部:それはシビアな世界ですね。そこに付くアシスタントさんもすごいですし、妥協しない坂巻さんも相当タフだとお察しします。

 

 

佐藤:泣きそうになりながらヘルプするというね…。あれは恐怖の時間だったな(笑)。変身企画のテレビ番組でも、もう限界です、これでよくないですか?というタイミングがあったんですけど、坂巻は「いや、納得いかない」と。まだやるの?と正直思うんですけど、見ていたら最終的にクオリティが一段階上がる。それを間近で見ていたから、僕らもそこを追求できるようになったし、後輩もまたそれを見てできるようになって。”どんな人でも絶対に喜ばせられる”という坂巻の信念を見せてもらったことが糧になりましたし、感謝しかないですね。

 

思い出の写真(apish提供)

 

>お客さま目線を忘れないプロデューサー

 

 

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