メディアを使い、戦略的にブームを起こす −airグループ20周年の軌跡を岩田社長に聞く【中編】−
「air」は1999年に誕生。10年目には新ブランド「LOVEST by air」や関西、九州への直営店の展開。すべての“美”が集まる総合エンターテインメント企業を目指し、ヘアケアグッズの開発や販売、エステ、ネイルサロン、人材教育など幅広い分野で成功をおさめてきました。
20年、止まることなく常に新しいサロンのカタチを体現してきたairグループの軌跡を代表取締役社長の岩田 卓郎(いわた たくろう)さんにたっぷりとうかがいました。インタビューは全3話で、今回は第2話。airのブランドが全国区になったころのお話です。まだのかたは第1話と併せてご覧ください。
ブームを巻き起こす「メディア戦略型サロン」誕生
3年目に麻布で2号店を出しました。この頃から雑誌を中心としたメディア戦略も本格的にスタートしています。メディア戦略型サロンと打ち出したのは、やはりメディアを動かす力を持たないと、世の中に広く伝えることは難しいと考えていたからです。
メディア戦略型サロンとしてベストを尽くすにあたって、ヘアメイクの実績を重ねて出版社と関係性を築き、朝日(朝日光輝さん 現SUNVALLEY)をはじめとする主要メンバーを1号店から2号店に引き抜いたんですよ。
そして、2号店から外へ仕掛けていった。1号店の店長の高田は面食らったと思いますよ。「マジで全員を連れて行かないでくださいよ!」って言っていましたもん。
その後、2号店のメンバーがメディアにどんどん打って出ました。高田と朝日って考え方が真逆な二人なんですよ。普通に出会っていたら、多分仲良くなることがなかったと思う。そんな二人を仲良くさせたことが、「air」成功の秘訣だと僕はよく人に言っているんですけれど。
高田はサロンワークを大切にし、ミーハーを嫌う究極の職人タイプですし、朝日は自分が外に出て世の中に新しいスタイルを発信していきたいタイプですから。城を守る高田と、攻める朝日というスタイルでやってきました。
『CanCam』のビッグウェーブに乗り、行列ができる美容室に
スタートして8年ほどで、東京を代表するサロンの一つとして名前が上がるようになってきました。特に『CanCam』(小学館)の勢いがものすごい時期で、押切もえちゃんの「もえ巻き」を朝日が生み出して、巻髪ブームがドカーンと当たりました。安良城紅ちゃんのボブが人気で、ボブが流行ったこともありました。それもこれも全部、air発で発信していましたし、あらゆる仕掛けが成功していたんです。その影響で、もう全国から「もえちゃんみたいになりたい」というお客さまがきました。
『PINKY』(集英社)でも鈴木えみちゃんとか、佐々木希ちゃんなどの人気のモデルさんのヘアメイクを金丸佳右中心にやらせてもらってガンガンに仕掛けるなど、世の中にいろいろなスタイルを出すチャンスをたくさんいただきました
そして、10年目の節目に自分たちに何ができるだろうと考えたんです。やはり、お客さまを含め、いろいろな人の協力があって、自分たちがあるとあらためて気づきました。そこには、愛情、LOVEがあるよねっていうことで、最上級の愛の造語「LOVEST」を第二のブランドとして立ち上げました。
ちょうど、10年目にメンバーも100人を突破し、会社の母体が大きくなり過ぎていて、フットワーク良く動くのが難しい時期でもあったんですよ。身軽に攻めていく心を忘れちゃいけないと考えていたころですね。
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