「最高のシャンプーを提供するサロン」が最初のコンセプトだった −airグループ20周年の軌跡を岩田社長に聞く!【前編】−

空気(air)は色も形もない変幻自在の存在

 

 

若いころ、僕には経営者の師匠がいて、いわゆる「鞄持ち」みたいなこともしていました。そのときの経験を生かして、経営コンサルティングもしていたんです。お客さんの少ない喫茶店や雑貨店を流行らせるとか、いろいろなお手伝いをしていました。店の前を歩く人たちにあわせて看板を工夫したり、店にアーティストの作品を展示することでアトリエ兼販売をしたり、いろいろな仕掛けをしたんですが、立て続けに上手くいったんですよ。その延長で、「美容室の経営をやってみないか」という話がきたんです。

 

やるからには自分の思い描くものをつくりたいから、名前から徹底的にこだわりました。「air」にしたのは、空気は生命維持に欠かせない絶対的な存在であり、色もカタチもないところがサロン名にピッタリだと思ったからです。

 

 

僕はクラブイベントをやっていて、フロアで何百人、何千人という人が、一枚のレコードの音楽で、跳ねたり、横揺れしたり、踊ったりする瞬間が、すごく好きだったし、エンターテイメントだと感じていました。ヘアを通じて笑顔をつくりたいのでentertainmentという言葉を添えました

 

airが創業時からシャンプーにこだわり続ける理由

 

 

美容室事業は、東麻布からスタートしました。当時はまだ六本木ヒルズもないですし、麻布十番駅もない時代だったので、街は閑散としていたんです。もちろん、サロンの知名度もゼロ。そのような中、僕が最初にスタッフに言ったのは、「シャンプーが気持ちいいサロンをつくろう」ということ。これは今の副社長の高田(高田 幸二さん)はじめ、初期のメンバーに口酸っぱく伝えていたことです。

 

最高のシャンプーをするっていうイズムは今も残っています。いまだに、エアーにはシャンプーのトーナメントがあって、優勝者は「ゴッドハンド」と呼ばれているんですよ。なぜシャンプーか。カットやカラーがうまいのは当たり前です。シャンプーって毎日の作業なんですが、「人に頭を洗ってもらう」ってよく考えたらすごいことじゃないですか? 僕は贅沢なことだと思う。だからシャンプーのクオリティを徹底的にあげたいと思ったんですよね。昔は最終試験で僕の頭を洗って、OKが出ないと合格できなかったんですよ。

 

僕は高校時代野球部で、甲子園を目指した経験があります。その頃から、「ベストを尽くす」ことを大事にしてきました。人間って甘いので、本当にベストを尽くせる人って少ない。じゃあ、本当にベストを尽くすとはどういうことかというと、100%ではなく、120%を目指すということです。例えば、100m走る時、ゴールまでを目指すと90%あたりでスピードを緩める可能性がある。でも、120mを目指せば、ゴールラインを駆け抜けることができます。今も岩田塾っていう泊まり込みの合宿をしているんですが、「ベストを尽くす」はその時も必ず伝えている言葉です。

 

 

岩田宿の様子

 

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プロフィール
株式会社エアーエンターテイメント
代表取締役社長 岩田 卓郎(いわた たくろう)

1999年、24歳で「air」を立ち上げ、圧倒的なスピードでトップサロンに仲間入りさせたグループ最高責任者。美容室経営という枠にとらわれず、全ての“美”が集まる総合エンターテインメント企業を目指し、ヘアケアグッズの開発や販売、エステ、ネイルサロン、人材教育などさまざまな分野を見据えた事業を展開。メーカーとの共同開発や自社製品の開発にも力をいれ、多くの美容師を抱えるairグループだからこそ出来るヒット商品を次々と生み出している。「ビューティーコンテンツファクトリー(マリコール)」をはじめとする、世界の有名ブランドがairグループに参加。医療との連携もスタートし、さらなる事業拡大をはかっている。

 

(文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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