店のコピーは昭和のエロ本から着想? マニアなサロンが19年間支持されてきたワケ ―「夢屋」夢夢子さん

スリリングな出会いを重ね、振り返れば19年。夢屋ではお客さまと親密な関係を築いていける

 

 

1人サロンのいいところは、スケジュールを自分のペースで決められ、お客さまと親密な関係を築けること。周りに誰もいませんから、お客さまから秘密を告白されることもあります。うちは、普通のサロンではあまりしないであろうエロティックな話題も多いです。これだけいろいろありますから(笑)。近い関係になれるからか、以前お客さまから「夢屋はヘアサロンだけど、社交場としての“サロン”だと思っています」とおっしゃっていただいたことがありました。それは私が理想としていることでもあったので、うれしかったです。

 

ただ、知り合いばかりが居心地のいいサロンを目指しているわけではありません。今でも月に10人程度は新規の方もいらっしゃいますし、最近では通りすがりの外国人観光客の方がきたりもします。

 

初めてのお客さまとの出会いは、いつだってスリリング。まずはお客さまの服装や雰囲気を見て、どんなスタイルをお求めなのか探っていき、「お任せ」と言っていただいた場合は、その方が挑戦したことのない新しいスタイルを提案します。そうやって、いつも違うことをしていたので、気がつけば19年経っていたというのが正直なところです。

 

いつか一軒家の1階がサロンと喫茶店の店をやりたい

 

 

現在は不定休で営業しています。スタッフもいないので責任も自分ひとり分なので気楽です。とは言え、波があるのがこの仕事の常。昔は不安で予約をいっぱいに詰め込んでいたときもありました。今は1日5名までと決めているので、施術が終わったあとにお客さまとお話したり、店内に置いてあるイベントのフライヤーを渡したりして、いろんな情報交換を楽しんでいます。

 

私は、今の環境もお客さまのこともとても気に入っています。大それた目標は特にないのですが、いつか一軒家の1階がサロン兼喫茶店、というのをやりたいですね。

 

 

プロフィール
夢 夢子(ゆめ ゆめこ) /夢屋オーナースタイリスト

大阪府出身。関西美容専門学校卒業後、いくつかのサロン勤務を経て2000年に夢屋をオープン。1960〜70年代に特化した世界観で多くのファンを持つ。レトロ喫茶店にも精通しており杉作J太郎責任編集「現代芸術マガジン」にて連載も持つ。

 

(取材・文/橘川麻実 撮影/宇津木健司)

 

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