特集「海と美容室」-1st STORY 川畑タケル(BEAUTRIUM)-なぜ川畑タケルは七里ヶ浜を拠点に選んだのか?-

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仕事においても、生活においても、自分が一番リラックスできる状態を知ること

 

—美容師という職業は、一般的にオンとオフを上手く切り替えることが難しい仕事だと思いますが、ワークライフバランスというものをどのように考えていますか?

 

「美容師って日々人と接する仕事だし、働く時間も長いから意外とストレスフルで過酷な仕事だと思います。そんな中でも自分らしく、リラックスして自身の調和を保ってやるというのが、この仕事を長く続ける秘訣だと思っていて。『クオリティの高い仕事をするには、健全な心と健康な体が必要だ』というのが僕自身の考えなんです。

 

僕は、朝6時には海に出て、毎日2〜3時間サーフィンしてからお店に来る、そんな生活を送っているからお客さんに対しても、ありのままというか、自然体で接することができています。そういう生活と仕事のサイクルをいかに生み出していけるか、自分で見極めることがすごく大切なことだと思いますね。

こんなこと言うと語弊があるかもしれないけど、東京にいたころは、あまりお店にいたくなかったんですよね。だから、雑誌の撮影の仕事をできるだけ引き受けて、外に行っていたし(笑)。でも、ここのお店にいると店内から海が見えるし、もう外にいるようなものだから、すごく気持ちがリラックスできますね。仕事と生活を上手く地続きにさせることができている感じがしています」

 

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—先ほども、スタッフさんがウェットスーツ姿で出勤していましたし、海辺からそのまま店舗に来て、仕事というスタイルも「あり」なんですものね。川畑さんが『BEAUTRIUM七里ケ浜店』をはじめるにあたって、こだわったポイントは?

 

「自分のマインドや感性をしっかりとお店に投影させることですよね。例えば入り口に広々としたソファがあって、額縁には褪せた海辺の写真、そして心地よい音楽が流れているみたいな、こういう自分の感性を磨いてくれるものに囲まれるというね。このお店は僕の作品でもあるんだよね」

 

—日頃から良いインスピレーションを受けられるようにしておくと。

 

「そうですね。とにかく映画とか創作活動がかねてから好きだったから、写真も撮るし、16ミリカメラを持って動画も撮るし。ボブのスタイルとか、髪型も国内外、年代問わず映画を見て沢山学んだなと。それをいろんな形でアウトプットしたいけど、やっぱり女の子が好きだしカットも上手だし(笑)。美容師というスタイルが一番自分にあっているかなと」

 

—自分のお店に入るスタッフさんにはいつもどのようなことを教えているのでしょうか。

 

「作品撮りをしなさいと言っています。でもオリジナリティを見つけられなくなってしまうから、人が作ったヘアカタログとかではなく、もっと違うものを見て、気になる作品や写真集だったりをいつも見なさいと伝えていますね。あとは各業界で一流の仕事をしている顧客さんがいっぱいくるから。『その人たちにも影響されて変化していくんだよ』と伝えていますね。話がうまくできれば、その人たちからいろんなことを吸収できるわけじゃないですか」

 

—良い関係性を築いて、自分も成長していくと。

 

「ネットでも情報は見られるのかもしれないけど、よりその人から聞いたほうがリアルな話が聞ける。そういう人たちと交わって、“美容バカ”にならないようにしないといけないと伝えています」

 

—なるほど。キャリアで悩む美容師さんに向けて、アドバイスをお願いします。

 

「確かな腕があって、場所をきちんと選べばやりたいことはできると思うんですよね。例えばニューヨークでも日本の美容師さんが活躍していたりするし、インドだろうがスリランカだろうが、気持ちのいいロケーションに優れたサービスが提供できるお店があれば、自然と人はそこに足を運ぶようになるから。“これだ”という場所や、やりたいことを見つけたらそこに躊躇せずに、自分のオリジナリティを発揮してほしいなと思います」

 

—ありがとうございました。

 

 

プロフィール
BEAUTRIUM七里ケ浜店/Artistic Director
川畑 タケル (かわばた たける)

1988年BEAUTRIUM(ビュートリアム)に所属。それまで画一的だった日本の美容界に革命を起こしたスライドカットを生み出し、現在ではArtistic Directorとして、美容界だけではなく、ファッションやカルチャーに関わる様々な方面に影響を与える存在。2008年3月に七里ヶ浜にBEAUTRIUM七里ヶ浜店をオープン。

 (取材・文/QJナビ編集部  撮影/Miri Matsufuji)

 

 

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