2018年を経てドレッドヘア人気上昇中? ニッチな「特殊パーマ」ニーズに真面目に応え続けた20年—宇宙開発美容所・畑中利光さん
特殊なヘアを作るには時間をかけたカウンセリングが必須
現在来店されているお客さまのほとんどが、特殊パーマをオーダーされます。針金パーマは完成まで3~4時間かかりますし、ドレッドならオープンからクローズまで1日がかり。自然と滞在時間も長くなるため、マニュアル通りの堅苦しい接客にならないように気をつけています。会話も趣味や遊びの話など、お客さまが普段お友達と話しているときのような感覚でリラックスできるように、フレンドリーな対応を心がけています。
また、施術に時間がかかるとはいえ、時間内に確実に終わらせることも大切。ツールも、より早く施術できるように日々研究しています。あと、特殊パーマは技術もツールもオリジナルが多く、覚えることがとにかく多いため、基本の技術をすでに習得している人を採用しています。
もう一つ重要なのは、カウンセリング。ドレッドや特殊パーマは1回でやめる方が少なく、3年ほど同じスタイルを続ける人もいます。その場合は3年後も同じ状態でいられるように、はじめの施術のときに考えながら設計しなければいけません。そのお客さまがどれだけ同じスタイルを続けていきたいかによっても設計は変わりますし、普段の生活も考えた上でのスタイルにしなければいけないので、カウンセリングに時間をかける必要があります。
ドレッドの知識があるお客さまなら簡単な電話連絡だけでもOKですが、スタイルによって価格も変わってくるので、事前にSNSで画像を送っていただいたり、それでも分かりづらそうな場合は、可能であればカウンセリングのためだけに来店していただいき、別日に施術する、というパターンもあります。ドレッドの知識がないお客さまの場合、誤解を持っている方も多いので、施術に関する疑問や不安に思っている点などにも丁寧に答えていくことで、失敗がないようにしています。
ブラックカルチャーブームの影響でドレッドヘアのお客さまが急増!
お客さまはオープン当時からきてくださっている方もいれば、SNSなどをきっかけに知ったという外国の方もいます。年齢層も10代から70代までと幅広く、さまざまな方に来店いただいているのですが、必ずしも「ブラックカルチャー好き=ドレッドヘア」というわけではありません。単純に「ファッションとしてドレッドヘアが好き」というお客さまが多いです。
しかし、2018年に関してはブラックカルチャーブームが後押ししてくれて、ドレッドヘアをやる人が増えた印象があります。最近人気のヒップホップアーティストの髪型にしたいというオーダーや、新規の方も増えました。
宇宙開発美容所がオープンした90年代もレゲエやヒップホップ音楽が流行っていた時期。ドレッドヘアなどの特殊パーマをファッションとしても楽しむブームがありました。現在は、そのときの感覚とすごく似ていると感じています。カルチャーとしてブームがきて、これから一般のサロンさんも興味を持ちはじめて、施術をやるサロンが増えるという流れがくるんじゃないかと思っています。
そして90年代のブームに比べて、今の若い子たちのほうが、仕上がりに関しても求めるクオリティが高くなり、お金をかけることを惜しまない傾向があります。それは技術や素材のクオリティが上がったことや、情報が増えたことが理由の一つかもしれません。
また、昔はファイバー毛を使用する人が多かったのですが、今は8割くらいの方が人毛を使っています。価格が上がっても自然な質感やカラーの調整が効く人毛を選ぶことが圧倒的に多くなりました。90年代のブームのときもそうでしたが、こだわりのあるヘアスタイルが注目されることで、これから挑戦される方の中にはもっとクオリティを上げたい、オリジナル感を出したいと思う方もいるでしょうし、まだまだこれから盛り上がっていくジャンルになると思います。