美容師5人が共同開発!ハンドクリーム「なめこさん」の“本気”具合を教えて!

世界初のハンドクリームを! 価格2,000円は安い…?

 

 

――試作品を作ってから完成までは、どのような試行錯誤があったのでしょうか?

 

山口さん:試作品ができあがってからは、自分たちはもちろん、スタッフやお客さまにも試してもらってフィードバックを5〜6回ほど繰り返しました。

 

僕らがメーカーさんにリクエストした条件の中で、特に重要項目だったのは“ベタベタしない”ことでした。「美容師さんの手荒れを助ける」もコンセプトの1つだったので、塗ったあとベトベトすると、髪を切っているときに毛が手についたり、カラーグローブが引っかかったりして不便なんですよね。そこで試作品を手に塗ってから、さっと手を洗って、どのくらい残るのかチェックするなど何度も検証しました。その結果、ベタつかないのに、シャンプーをしてもうるおいがキープできるハンドクリームができたんです。開発している途中で、“これは美容師だけではく、調理師さんや看護師さんにも喜ばれるだろうな”と気づき、手荒れに悩むすべての人に使いやすい処方に調整していきました。僕らのリクエストはかなり細かったので、メーカーさんは大変だったと思います。

 

――医療メーカーとの共同開発となると、使う成分も美容メーカーと異なりそうですね。

 

 

磯貝勇治さん(以下、磯貝さん):そうなんです。“なめこさん”と聞くと親しみやすいイメージですが、そのなめこから採取できるすごい成分があって。“フォリテクト”というのですが、ヒアルロン酸に比べて保湿力・保護力が約2.5倍、保水力は約6倍もあるんです。発売したばかりの新しい成分で、この成分を使えば世界初の商品になると言われたので、ぜひ採用したいと思いました。なめこさんには、フォリテクトに加えて美容成分としても知られるホホバオイルが50%も入っています。さらにそれを再生医療の分野で使われる“ハイドロゲル”という生体材料で包んでいるので、肌へスッと浸透するんです。

 

――ネーミングも「なめこ」を前面に押し出しているかたちですが、理由はあるのですか?

 

 

柴田修平さん(以下、修平さん):実は、このネーミングやデザインが、僕らの中でいちばん意見が分かれたところでした。サロンに置くのに、もっとおしゃれなデザインで、ネーミングも英語にしたほうがいいのではないかとか…。でも僕らのほとんどが中央線沿線に店を構えていたこともあり、中央線の独特なカルチャーを入れたかったんです。そこで、おしゃれ過ぎない、親しみやすさで勝負することにしました。ネーミングはなめこ由来の成分を使っているから“なめこさん”に。“なめこちゃん“とか“なめこさま”とか、いろいろな案がありましたが、なめこに敬意を示しつつ、親しみやすさを考えて、ひらがなの「なめこさん」と付けました。デザインも、ちょっと昭和レトロなものにしました。

 

 

裕輔さん:僕個人は、ひらがなの商品名には反対でしたね(笑)。でも世間に無数にあるハンドクリームの中で目を留めてもらうためには、見た目のインパクトは重要だと思いました。ネット上に並んだとき、このネーミングやデザインなら見ている人が「何これ?」って一度手が止まると思ったんです。ちょっと遊びすぎなのですが、中身は最高にいいものを使っているので、「目にとまれさえすれば売れるんじゃないか」って思ったんです。

 

――2,000円という価格も絶妙なラインをついているなと思いますが、実際のところどうなのでしょうか。

 

 

山崎敦史さん(以下、山崎さん):医療メーカーが特許を持っている技術に、最新の成分を配合しているので、本来はもっと高機能性を生かしたデザインにして、高く売るのがセオリーなのかもしれません。しかし、あえて価格は2,000円にしました。品質を考えると、メーカーさんは5〜6,000円で売ってほしかったみたいですが(笑)。

 

実際に美容液並みの成分を使っているので、ハンドクリームではなく「美容液」として売れば、5〜6,000円でも買ってもらえると思います。でも、「ハンドクリーム」で5,000円だと高く見えてしまいますよね。それに、美容師を助けようと思ってはじめたのに、美容液として売ったらコンセプトがブレてしまいます。また、美容液として販売すると男性の購入が難しくなる。購入層の幅が狭まってしまう気がしたんです。だから、2,000円という価格設定で「ハンドクリーム」として出すことにしました。

 

発売から世界に!? ひょんなことからまさかのドバイでリリース発表!

 

 

――なめこさんのお披露目は中東のドバイだったと聞きました。なぜドバイだったのでしょうか。

 

裕輔さん:共同開発した医療メーカーさんが、中東ドバイの大学で医療品と化粧品の展示会に出るということで誘っていただいたんです。国内の化粧品展示会でデビューするよりも医療品かつ海外のイベントだと、インパクトがあるじゃないですか。さらに、展示会ではなめこさんで採用している再生医療の技術について京都大学の田端教授がスピーチをするということもあり、このハンドクリームの品質を世界にアピールできるチャンスだと思って5人でドバイへ乗り込みました。

 

修平さん:現地では注目してもらうために“サムライ美容師”と称してカットのデモンストレーションをしたり、インスタグラム用のフレームを用意して、来場者と写真を撮ったりしてアピールしました。あと、なめこのインスタント味噌汁をいっぱい持っていったんですが、ドバイの人はなめこを知らなくて、『ポイズン?』と言われることも。これは失敗でしたね(苦笑)。でも、教授の講演を聞くことで、再生医療の技術について自分たちも理解が深まりましたし、自分たちが作ったプロダクトにエビデンスがつくことで、より自信を持つことができました。

 

>遂に発売! なめこさんの売れ行きはどんなもの?

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